兎澤さんが初めて南京に訪れたのは治療が目的で、その際は長期滞在するつもりは全くなかったのだという。兎澤さんは20歳のとき、アトピー性皮膚炎を患い、全身に白い小さな水疱ができてしまい、包帯を全身に巻いた様子はまさに「ミイラ」そのものだった。そんな兎澤さんは中医学に最後の希望を託していた。兎澤さんは雲南省、西蔵(チベット)自治区、内蒙古(モンゴル)自治区などに赴き、医師を探し、ほとんど全ての治療法を試したという。24年経った今でも病気は完治していないが、兎澤さんはすでに南京を離れない決心をし、多くの日本人にとって南京の「ガイド」役を務めている。
兎澤さんは自転車に乗って、南京を訪れた日本人を鼓楼近くの山西路によく連れて行く。片手でハンドルを握り、もう一方の手で道沿いにある小吃(軽食)を売る店を指差す。そして兎澤さんは広さ7平米しかない開業13年のお気に入りの貴州米粉(ビーフン)の店に日本人の友だちを連れて行くのだという。そのときには必ず「山西路の小吃の店はもう数えきれないほど入れ替わっているが、この貴州米粉の店はずっと前からあり、私が南京に来たときから味が変わらない」と日本人の友だちに紹介するのだということだ。
写真出典:箭厰動画「南京で生活する日本人」
多くの日本人が南京という都市を知りたがっている。彼らは南京を訪れるとまずはかの有名な記念館に行くことから始める。多くの日本人が約1300キロ離れたところからわざわざやってきて、兎澤さんに「中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館に連れて行ってほしい」と頼むのだという。
それについて、兎澤さんは、「あそこは日本人の好奇心をくすぐる場所であり、多くの日本人が、中国人があの歴史についてどのように訴えているかを知りたいと考えている」としている。
過去10年間で、兎澤さんは毎年のように南京を訪れた人たちを連れて同記念館を案内している。そして最後には必ずその敷地内にある「平和の女神像」の前で一緒に記念撮影するという。
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