着物をもっと身近に
日本人にとっても着物は「自分で着るのが難しい」、「帯が苦しい」、「着る機会や場所がない」など、ハードルの高いイメージがあったが、近年は「着物女子」ブームで、企業側も「着物を着る機会がなくて着物文化が先細りするなら、着物を着る機会を作ってしまえばいい」と力を入れており、「浴衣で懐石料理を食べる会」や「着物でイタリアンを食べる会」、「着物で新歌舞伎座に行こう」など様々な企画を行っている。また訪日旅行でそうした体験を希望する中国人旅行客もまた増えている。
外国人への着付けレッスン
女人街の着物教室で中国人の生徒に着物の着付けを教えている五十嵐さん。レッスンは1回約90分間で、初心者には五十嵐さんがまず説明しながら生徒に着物を着付け、その後生徒が自分で教わった手順に従い、着付けを行う流れとなっており、初回はレッスン時間内に自分の力だけで着付けを1回できることをゴールとしている。生徒のユウさん(ペンネーム)は、日本語を学んだことのある中国人で、日本文化に興味があり、浴衣の着付け経験があるという。しかし着物の着付けの複雑さ、帯の結び方には苦戦している様子だった。ユウさんは「浴衣との一番の差は帯の結び方。一見すると簡単そうだが、帯や帯締めなどを折り重ねることで初めて帯の形になるため、非常に大変。でもとても貴重な経験なので、興味がある人には是非体験してみて欲しい」とその感想を述べた。
また五十嵐さんによると、着物はTPOに応じた格の着物を選ぶことが最も重要なので、しっかりと理解することが大切だということだ。打掛や黒留袖、本振袖、喪服などの【礼装着】、色留袖、訪問着、振袖、色無地、江戸小紋の紋付などの【略礼装着】、付け下げ、付け下げ小紋、紬の訪問着などの【外出着】、紬、絣、黄八丈、ウール、木綿などの【街着・普段着・浴衣】の4種類があり、礼装着が最も格が高く、街着・普段着・浴衣が最も格が低いものとして位置づけられている。
五十嵐さんは「中国の人はどちらかというと、着物の着付けを体験することで満足してしまっているが、中国の人にも着物の文化や魅力を知ってもらった上で綺麗に着付けるということを目指して欲しい」とその思いを語った。(洪東実)
「人民網日本語版」2017年3月17日
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