授業が開始して驚いたのは、この学校独自の教科書があることです。この教科書は初代JICAボランティアが外国人技能実習制度の選考面接のために集めた語彙をもとに、私の前者者と学生たち全員で作り上げたものだそうです。
また授業で学生と話したところ、「帰って二時間くらい勉強している」と言うのです。失礼ながら、中等専門学校のような所では、日々の学習サイクルが身についている学生は少ないと思っていました。そのため、彼らの勉強に対するモチベーションの高さにたいへん驚かされました。
私が着任して直ぐ、A君という学生が私の身の回りの補助や業務のサポートをしてくれました。彼も前任者の教え子で、この春から日本への留学を予定しています。彼は日本語能力がずば抜けていて、私は中国にいるにも関わらず、中国語を話す機会を失うほどの存在感でした。A君は日本語の勉強の最中、時折目をキラキラさせながら、前任者を尊敬していると語ってくれました。そしてこの学校においてスピーチコンテストというイベントが大きな意義を持っていることを教えてくれました。この学校でのスピーチコンテストは前任者が立ち上げたイベントです。学生たちにとって学習の大きなモチベーションであり、準備段階から先輩が後輩に助言・指導するなど学生間の関係を構築するものでもあります。私は着任直後で不慣れな環境と、語学力の乏しさなどもあり、スピーチコンテストを開催する自信がありませんでした。しかしA君の情熱に後押しされ、スピーチコンテストを開催することにしました。同僚に『スピーチコンテストを開催したい』と言ったところ、皆笑顔で協力してくれました。スピーチの題目は『将来の夢』にしました。学生たちの言葉は『日本語が世界で最も美しい言葉だと思うので、日本の歌手になりたい』『通訳の姿にあこがれて、自分の夢に気づいた』『テレビで見る日本の街や風景を、いつか自分の目で見て、体験して、感じてみたい。』など、ときめいた内容で溢れていました。私は学生たちの夢に感化され、この学校に来て本当によかったと感じました。
この学校を良い状態で私につないでくれた前任者と学校関係者の方々にたいへん感謝しています。今後、私なりに精一杯頑張らなくてはいけないと感じさせられました。
平成28年度青年海外協力隊員 武漢市財貿学校日本語教師 吉田考
「人民網日本語版」2017年4月14日
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