最近、朝鮮半島情勢は緊迫の度を増している。(文:賈秀東・本紙特約論説員。中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
トランプ政権は朝鮮の核・ミサイル計画について、米国への脅威が増していると何度も非難し、過去20年間の対朝外交努力は失敗であり、米国の「戦略的忍耐」も終ったと言明している。朝鮮は弱みを見せようとせず、「強硬には超強硬」の姿勢で、激しい言葉と様々な行動で米国に力を誇示している。国際メディアは衛星画像など様々な兆しから、朝鮮が4月のいくつかの重要な記念日に6回目の核実験を行う可能性が高いと推測。
朝鮮半島情勢は非常に緊張しているが、一触即発で戦争という段階にはいたっていない。軍事行動と先制攻撃を第一選択肢にするのは、それほど容易なことではない。総合的実力では、米韓は朝鮮に対して圧倒的優勢にあるが、勝算はない。朝鮮半島「非武装地帯」の両側は世界で最も軍事化の深刻な地区の1つだろう。どのような軍事的挑発も壊滅的打撃をこうむる可能性が高い。誰が戦争を引き起こしたのであれ、ひとたび本当の戦乱が生じれば、誰も勝者にはなれない。
こうした局面は朝鮮半島南北の「恐怖の均衡」と呼べるかもしれない。こうした「恐怖の均衡」の下、情勢はもろく危険なままだ。朝鮮の核保有は国際的な核不拡散体制を破壊し、国連安保理決議に違反する。朝鮮が独断専行で再び核実験を実施するのなら、国際的に一層厳しい制裁を招き、孤立を深めるだけだ。同様に、米韓が再三朝鮮に軍事的圧力を加え、対朝追加制裁と朝鮮の孤立化を図るのなら、朝鮮をより過激な対応措置へと走らせ、朝鮮半島情勢の交互エスカレートを招き、悪循環を形成するだけだ。個別の突発的事態、偶発的衝突も、小さな火花が広野に燃え広がるように、朝鮮半島及び周辺地域に破滅的な結果をもたらす恐れがある。中東地域の戦乱はすでに悲惨な状況にある。もし朝鮮半島で戦争や混乱が生じれば、北東アジア地域はさらに凄惨な様相を呈する恐れがある。もちろん、こうした状況が生じる可能性は低い。中国の王毅外交部長(外相)が述べたように「戦争勃発の可能性については、1%でもだめだ。朝鮮半島は中東ではない」のだ。
朝鮮半島核問題に一挙に解決する方法はない。地域の国々はいずれも自らの安全維持を望んでおり、平和的解決は全ての関係国にとって最大公約数だ。歴史が繰り返し証明しているように、武力で問題は解決できず、対話と協議こそが問題解決の唯一の正しい道だ。
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