「都市化」とはこういうことだ。都市はいつも人口密度で定義されるが、人々が好むと好まざると同じく都市に集中するのはなぜかといえば、経済の集積度が人口の集積度を上回るからだ。このように考えてみよう。初めは安全性やそれに付随する理由が人口の集積を促したかもしれないが、人々は人口の集積が経済成長にプラスになり、人が集まって一ヶ所に固まると収入増加にプラスになり、集積と最集積という経済成長のエンジンが動き出すことに気づいた。
▽経済集積度と人口密集度の関係
経済の集積度が人口の密集度を上回ると、超えられないカベでもない限り、さらに多くの人口が集まることは確実だ。東京の場合、現地の関係者に聞くと、すでに30年前に、この日本一の大都会は人口が多すぎる、土地が狭すぎる、負荷が受け入れ能力を超えていると嘆く人々が大勢いた。関連の法律や政策が施行され、長年にわたって「東京の分散化」や「よりバランスのとれた成長」という構想が推進された。だが数十年後の今、集積度は引き続き上昇している。分散しては東京の最大の魅力が発揮されないからで、「東京への集中プロセス」の流れはもはやくい止めようがない。
その道理はシンプルだ。拡散・バランス政策によるはたらきかけをしても、東京の経済密度は引き続き人口密度より高く、一人あたり平均GDPは全国平均を70%近くも上回るからだ。つまり、東京に引っ越せば、所得水準も上がるということだ。人は高いところを目指すものであり、これをくい止めることはできない。東京の高い密度が生活コストと生産コストを引き上げていることは確かだが、利害得失を考え、軽重をはかり、当事者たちは何がいいのかはっきりわかっている。
東京都の各レベル政府と都市計画の専門家たちもこうした現象を認めており、人々を低い方へ押しやることはできない。経済の規律が促せば、人々は喜んで集まり、よりよい集積環境を生み出すのは当然のことだ。10年10月に東京で会議に出席した際、主催者が企画した空中観光に参加した。ヘリコプターで中心部にあるビルの屋上を飛び立ち、空から東京の様子を眺めた。いくつもの高層ビルの屋上で工事が行われており、たくさんの工作機械が忙しそうに立ち働いていた。たずねたところ、「空中都市庭園」を作っているという答えが返ってきた。大都会の密度がさらに高まり、近代都市計画の祖と呼ばれる英国のエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市」の理想がこんなに高い場所で実現することになるのだ。
人口の集積は経済の集積を押し進め、人口のさらなる集積を促すというのが、都市化の動態プロセスだ。ここからわかることは、北京、上海、広州が経済面で引き続き絶対的な上位にあれば、人口の集積が長期的にわたって続き、他の都市も経済成長によってより多くの人材を誘致すれば、将来はこうした相互に推進し合う関係が都市間の経済発展をよりバランスのとれたものにしていくということだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年6月21日
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