米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはこのほどアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対して初めて「成績をつけ」、この新興の多国間開発銀行に世界銀行と同じ「Aaa」の最上位格付けを付与した。アナリストは、「この高い格付けにはAIIBの今後に対するムーディーズの高い期待が現れているだけでなく、中国がグローバルガバナンスの改善を推進していることに対するムーディーズの高い評価がはっきりと示されている」との見方を示す。「北京日報」が伝えた。
ムーディーズは公告の中で、「Aaaの格付けを付与したのは主にAIIBの『ガバナンスの枠組の完全性』を評価してのことであり、具体的な評価内容にはAIIBのリスク管理、資本充足率、流動性対策などが含まれる」と述べた。また「『極めて安定的な』資本充足率はAIIBの信用状況にとって支えとなるもので、極端な状況の中、AIIBは大規模な払込資本金により保証契約のある特殊な支援を獲得することになる」との見方を示した。
AIIBの資本金は1千億ドル(1ドルは約112.4円)に上り、これには払込資本金200億ドルと払込予定資本金800億ドルが含まれる。ムーディーズは、「AIIBはその成熟にともなって、財務・リスク管理対策が発展を続けることは間違いない」との見方を示した。
中国国際経済交流センターの張燕生・首席研究員は、「中国はAIIBの呼びかけ人であり、最大の出資者であり、AIIBの管理、運営、方針決定モデルはどれも注目を集めている。人々がより関心を抱くのは、この中国が呼びかけて発足した新興の多国間開発銀行が『中国のAIIB』に変わるかどうかという点だ。だが事実が証明するように、これは考えすぎだ」と話す。
所得水準にかかわらずすべての国・地域にインフラ建設支援を提供する。公共部門の資本と民間部門の資本をどちらも利用し、より効果的に資源を配分する。AIIBの理事会は非常駐であり、運営コストを節約し、理事会により大きな自主権と責任を付与する。貸し出し条件の緩やかなソフトローンの窓口は設けず、アジェンダ(議題)は二国間の枠組に制約されない。AIIBはこうした革新的な考え方と包摂力ある協力という姿勢で、独特かつ高効率の事業展開を行ってきた。
張首席研究員は、「AIIBに対する評価は、実際には中国が責任ある大国としてグローバルガバナンスの改善を推進していることに対する高い評価にほかならない。中国は『みんなが薪をくべれば炎は高くなる』を原則として、世界の包摂力ある成長を力強く促進してきた」との見方を示す。
AIIBは開業からの1年間で、参加国が当初の57ヶ国から80ヶ国に増え、世界銀行に次ぐ規模となった。認可したインフラ投資プロジェクトは16件あり、総投資額は25億ドルに迫る。ムーディーズは今回、「Aaa」の格付けを付与しただけでなく、格付け見通しを「安定的」とし、AIIBには近く期限を迎える債務の償還を継続的に行い得る力があると同時に、さらに事業を拡大発展させる力があるとの見方を示した。注視されるのは、ムーディーズがAIIBは他の多国間開発銀行と同様、先順位債権者の地位を獲得する見込みで、これはAIIBが「極めて高い資産の質」を維持する上でプラスになると予測したことだ。
業界関係者は、「『Aaa』の格付けは始まりに過ぎない。『簡潔、廉潔、清潔』の原則に導かれて、AIIBは今後、各大手格付け会社から高い評価を得ることが常態になるだろう」と予想する。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年7月3日
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