「今後しばらくは、ひいては永遠に、私とヒューゴー賞は縁がないことは確実」。2017年度のヒューゴー賞の長編小説部門の受賞を逃した中国の作家・劉慈欣は、フィンランドの首都ヘルシンキでそのように語った。新華社が報じた。
劉慈欣は、「これからも、長編小説を書き続けていくが、そのためにはたくさんの時間を要する。作家が一生の間に傑作を一つ書くだけでもたいへんなこと。短期間のうちに優秀な作品、ひいては世界的な大賞を獲得する作品を書くのは至難の業」との見方を示した。
2年前、劉慈欣の長編小説「三体」の第一作(英語版)が最優秀長編小説部門でヒューゴー賞を受賞し、SFやファンタジーの作品に授与される同賞を受賞した初のアジア人作家となった。今年、「三体」の第三作「死神永生」(英語版)が再び同賞にノミネートされたものの、受賞は逃した。
劉慈欣は、「中国国内では、影響力のある長編小説を書けるSF作家が不足している。そのため、今後中国人がヒューゴー賞を取るとすれば、中編か短編部門。中国にも優秀な短編小説家がたくさんおり、優秀な短篇作品もたくさんある。うまくPRできれば、受賞の可能性が出てくるだろう」との見方を示す。
「世界的SF作品と言われているのは、実際にはやはり米国の作品がほとんど。米国のSF作品や作家の数、読者は世界全体の80%以上を占めている。それに対して、その他の国のレベルは大差ない。中国も同じで、SF作品はまだ発展の初期段階にある。米国SF作家協会に登録している作家は約3000人で、活発に活動しているのはそのうち約2000人。しかし、中国で頻繁に作品を発表しているSF作家は20-30人程度で、そのような状況を短期のうちに変えることは難しいだろう」と劉慈欣は語った。
劉慈欣は、「『三体』が2度ヒューゴー賞にノミネートされ、1度受賞したことで、中国のSF作品が世界に進出するために扉を開いた。しかし、中国のSF作品が世界に認められるためには、まず中国国内で成功を収めなければならない」と指摘する。
米国SF界最初期の功労者であるヒューゴー・ガーンズバックにちなんで名付けられた「ヒューゴー賞」は、1953年に創設された。ネビュラ賞と同じく、最も権威あり、影響力を持つ世界公認のSF小説賞として知られている。
世界SF協会は11日、ヘルシンキで開催された第75回世界SF小説大会で、米国SF作家N・K・ジェミシンのヒューゴー賞(最優秀長編小説部門)受賞を発表した。劉慈欣はノミネートされたものの受賞を逃がした。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年8月16日
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