低温医学界において著名な医師であるアーロン・ドレーク氏が14日、山東省済南市で、中国人女性の遺体を冷凍保存するための手術を行った。中国で同手術が行われたのは今回が初めて。同手術は、山東銀豊生命科学研究院と山東大学斉魯病院が共同で行った。
人体の冷凍保存を申請したのは肺がんを患った49歳の女性・展文蓮さん。展さんは47歳だった2015年5月に末期の肺がんと診断された。そして、17年3月、展さんは夫に自分の遺体を科学研究のために使ってほしいと伝えた。そして、夫は「人体冷凍」の技術を知り、その技術を持つ山東銀豊生命科学研究院に連絡した。「医学的に可能であれば、将来、僕も冷凍してもらい、妻と一緒に復活させてほしい」と展さんの夫。
5月8日、主治医は法律で定められた手順を経て、展さんの臨床死を宣告。10日夕方に、展さんの体に処置が施され、液体窒素により零下196度に保たれた特製容器の中に移された。
中国科学院の研究員で、低温生物工学北京市重点実験室の室長・劉静氏は取材に対して、「人体冷凍保存は、低温医学の最終目標。しかし、現時点では、人体冷凍保存はまだ試験段階にあり、冷凍するだけで、復活させることはできない」と説明する。
そして、「現段階の人体冷凍保存は、遺体の保存に近い。楽観的に見れば、今後新しい科学技術がどんどん登場して、人体冷凍保存技術の課題を克服すれば、人間を蘇らせたり、生きたまま保存したりすることも不可能とは言えない。しかしそのためには、想像を絶するほどの非常に画期的な科学の探求が必要だ。その技術の難題を突破できれば、人類最大の科学技術成果となるだろう。そして、人類は寿命や病気という問題から解放される」と指摘した。
銀豊生命科学院の責任者・賈春生氏は、「現在、人体の冷凍保存プロジェクトは、科学研究の範囲に厳しくとどめられており、それを商業化する考えはない。人体の冷凍保存をめぐる、中国の法律や医療規範も今のところ空白状態。関連の研究が展開できるのは、法律上、『提供された遺体に対して科学研究を行う』ということに立脚点が置かれているから」と指摘した。 (編集KN)
「人民網日本語版」2017年8月16日
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