◆目的は選挙票獲得
健康面でのリスクだけでなく、捕鯨業は経済的危機にも直面している。
朝日新聞が2006年に行った統計によると、日本国民のうち、「日常的に鯨肉を食べている」人は4%だけで、「ごくたまに食べる」は9%、「食べたことがない」は53%、「この先も永遠に食べることはない」は33%だった。また、日本で食用とされず売れ残った冷蔵鯨肉の量は、2002年から2012年までに倍増、4600トンに達した。
このような現状であるにもかかわらず、なぜ日本は大量の捕鯨を続けようとしているのか?
実は、雇用とその背後にある選挙票が、その重要な原因となっている。
捕鯨業の生産額がGNPに占める割合は低いものの、その関連産業チェーンは極めて大きい。太平洋海域だけでも、日本は1千隻以上の捕鯨船と10万人の捕鯨業従事者を擁している。もし日本が捕鯨を完全に放棄すれば、これらの業界関係者は生計を立てる術を失ってしまう。これは、失業率が高いままの日本にとって大きなダメージとなる。
また、農・林・漁・牧畜業に従事する国民は、現在政権を握っている自民党にとって重要な支持層であることから、彼らの生計を揺るがすようなことが生じた場合、支持率の低下がまぬがれなくなるのだ。
そのため事実上日本が捕鯨をやめることはあり得ず、捕鯨業に対する政府の支援は今後も続くとみられる。
日本が現在実施しているいわゆる「科学研究目的での捕鯨」のための経費は、国が賄っている。具体的には、農林水産省とその傘下にある水産庁が負担している。一般的には、彼らは日本鯨類研究所に業務委託する形でこれらの任務を遂行している。
統計によると、2005年から10年間、日本の国庫から約80億円の税金が日本鯨類研究所に拠出されてきた。
2015年に環境保護団体が日本政府に宛てて出した連名での書状の内容によると、日本政府は、「科学研究目的での捕鯨」のための補助金として31億円を拠出している。このほか、捕鯨業界は、「日本漁業の振興」と謳った漁業推進プロジェクト補助金45億円を水産庁から支給されている。
こうしたもろもろの資金援助のほかにも、日本政府は災害復興支援のための資金まで、いわゆる「科学研究目的での捕鯨」に充てている。
2013年3月、朝日新聞は、東日本大震災およびそれに伴う津波による被災者の「復興予算」のうち、1千億円以上が被災地再建に使用されていないと報じた。このうち22億8千万円は、南太平洋海域で反捕鯨活動を繰り広げる環境保護団体「シーシェパード」のパトロールに備える目的で、捕鯨船団の保安強化のために使用されていた。
このように「雇用」と「選挙票獲得」による挟み撃ちを受け、日本の捕鯨放棄は実現が極めて難しくなっている。
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