2019年1月8日  
 

中日対訳健康知恵袋 企画集 北京のお気に入り

政治|経済|社会|文化|中日
科学|写真|動画|対訳|企画
Apple新浪ツイッターFBLINE微信RSS
人民網日本語版>>動画

IWC脱退を決めた日本はなぜ「クジラを食べる」ことをやめられないのか (2)

人民網日本語版 2019年01月04日13:17

◆目的は選挙票獲得

健康面でのリスクだけでなく、捕鯨業は経済的危機にも直面している。

朝日新聞が2006年に行った統計によると、日本国民のうち、「日常的に鯨肉を食べている」人は4%だけで、「ごくたまに食べる」は9%、「食べたことがない」は53%、「この先も永遠に食べることはない」は33%だった。また、日本で食用とされず売れ残った冷蔵鯨肉の量は、2002年から2012年までに倍増、4600トンに達した。

このような現状であるにもかかわらず、なぜ日本は大量の捕鯨を続けようとしているのか?

実は、雇用とその背後にある選挙票が、その重要な原因となっている。

捕鯨業の生産額がGNPに占める割合は低いものの、その関連産業チェーンは極めて大きい。太平洋海域だけでも、日本は1千隻以上の捕鯨船と10万人の捕鯨業従事者を擁している。もし日本が捕鯨を完全に放棄すれば、これらの業界関係者は生計を立てる術を失ってしまう。これは、失業率が高いままの日本にとって大きなダメージとなる。

また、農・林・漁・牧畜業に従事する国民は、現在政権を握っている自民党にとって重要な支持層であることから、彼らの生計を揺るがすようなことが生じた場合、支持率の低下がまぬがれなくなるのだ。

そのため事実上日本が捕鯨をやめることはあり得ず、捕鯨業に対する政府の支援は今後も続くとみられる。

日本が現在実施しているいわゆる「科学研究目的での捕鯨」のための経費は、国が賄っている。具体的には、農林水産省とその傘下にある水産庁が負担している。一般的には、彼らは日本鯨類研究所に業務委託する形でこれらの任務を遂行している。

統計によると、2005年から10年間、日本の国庫から約80億円の税金が日本鯨類研究所に拠出されてきた。

2015年に環境保護団体が日本政府に宛てて出した連名での書状の内容によると、日本政府は、「科学研究目的での捕鯨」のための補助金として31億円を拠出している。このほか、捕鯨業界は、「日本漁業の振興」と謳った漁業推進プロジェクト補助金45億円を水産庁から支給されている。

こうしたもろもろの資金援助のほかにも、日本政府は災害復興支援のための資金まで、いわゆる「科学研究目的での捕鯨」に充てている。

2013年3月、朝日新聞は、東日本大震災およびそれに伴う津波による被災者の「復興予算」のうち、1千億円以上が被災地再建に使用されていないと報じた。このうち22億8千万円は、南太平洋海域で反捕鯨活動を繰り広げる環境保護団体「シーシェパード」のパトロールに備える目的で、捕鯨船団の保安強化のために使用されていた。

このように「雇用」と「選挙票獲得」による挟み撃ちを受け、日本の捕鯨放棄は実現が極めて難しくなっている。


【1】【2】【3】

コメント

最新コメント

空又 覚造 - 05-01-2019 09:34:44
捕鯨と食文化に関する鋭い分析である。日本語文章でこれほど優れた文章に出会うことは稀である。全ての意見に賛成はできないが大変参考になった。
 実は私も戦後生まれのクジラ肉で育った世代である。まず学校給食で。次にクジラ肉缶詰で弁当や朝食を食べていた。それほど貧乏ではなかったが,クジラ肉よりも味付けされたドロッとした油で米飯を食べた。これが実にうまい。クジラ肉はいらないほどであった。
 クジラ捕鯨の残虐性が唱えられ民間団体NGO妨害もあり,小売店やスーパーでクジラの缶詰を見かけることはだんだん少なくなって,皆無になった。
 敗戦後の日本は貧しかったので美国は学校給食用に小麦パンと脱脂粉乳(牛乳とは呼べない最低水準の品質)を提供して子どもたちの胃袋を満たしてくれた。これが無かったら日本の高度経済成長があったかどうかも怪しい。瑞穂の国の日本人民に将来美国産小麦を食べてほしいから経済援助したという説は完全否定できないが,作り話に過ぎる。
 一方で美国は欧州にもマーシャルブランMPと称して援助をしていた。これまたMPなくして西ドイツやイタリアの奇跡的な経済的発展は起きなかったであろう。
 しかし美国の経済援助が敗戦後の日本や欧州の欧州を助けた「汝の隣人を愛せ」という精神からだけでなく,別な狙いがあったのではないのかと論じられるようになってきた。たとえばTPPで無制限でどんどん美国の農産物やサービスを受け入れ「自由競争に任せよ」という新自由主義が台頭してきたからである。
 環境破壊・保護,食品の安全という観点から言えば,クジラやイルカの肉ばかりではなく美国産オレンジや豚肉(ホルマリン漬け)など安全でないものが沢山ある。狂牛病の牛肉などはその代表であろう。日本厚生省の安全基準は世界一厳しいものであったが美国によって次第に基準が緩められ,今では遺伝子組み換え食品GMOが日常横行するに至った。GMOを禁止したロシアが羨ましい。そして3.11によるフクシマ原発暴発により放射性物質は海洋に毎日放出されている。食物連鎖により太平洋の魚介類が安全でなくなりつつあるというのは事実である。クジラ肉も例外ではない。
 日本政府は次に溜めておいた「トリチウム」を太平洋に放出するよう計画している。希釈化されるので安全だというのがその理由だが,原子力委員会の委員は食物連鎖の,特に海洋汚染の専門家ではない。信用できない。
 話を戻すと,私の両親は密かに,通販でクジラ肉缶詰を購入していた。実家に帰っては私もその恩恵に預かってきたがその両親も他界した現在,クジラ肉を買うことはないが通販で取り寄せることはできる。商業捕鯨ではなくて研究調査捕鯨で捕獲したクジラ肉であり,脂身である。あるいは近海で取れたクジラ肉なのであろう。そのクジラ関連従業員が10万人以上いる事は知らなかった。
 他方,ノルウェーなどはまだIWCに加盟して割り当てられた鯨を捕獲し,日本にもいくらかクジラ肉を輸出している。日本もIWC枠内で問題なかったはずだから,政治的な理由が出てきたという説は説得的である。
 一方,クジラ捕鯨が全面禁止されたらどうなるかという問題もある。一般の魚がクジラによって大量に食べられ,一般漁民が困るという説もある。地球46億年の有史以来,一般魚とクジラは共存してきたわけだから,一般魚が減るというのは当たらない。例えば南沙諸島海域にはクジラは入ってこない。浅瀬のみならず海水温が高いからであろう。またカムチャッカ半島やクリル諸島沖合のような寒冷地にはサケ・マスが回遊してくるが絶滅したことはない。人間による「乱獲」がなければ,美国・加奈陀近海の漁場ニュー・ファンドランド沖合で一般魚がほとんど絶滅するということもなかったはずである。
 中世日本の文献にクジラ漁の話があることを本記事で初めて知った。つまり捕鯨は日本国民の伝統と言えよう。しかし「乱獲」はダメであろう。ゆえに日本はIWCに戻るべきと考えるが,これは別の問題を提起する。それは日本が核保有国になるということを意味する。
 パキスタンやインドやイスラエルや北朝鮮はNPT条約に加盟せずあるいは脱退して核開発を行って保有するに至った。多くの国々が参加する条約から脱退すれば何をすることも可能なのかどうか,という問題である。
 選挙の票が減るとか減らないとかはあまり関係ないであろう。敗戦後もともと自民党支持基盤の強い保守的な地域である。もし自民党支持を止めたとしても,野党に入れる気持ちはないであろう。IWC脱退は,捕鯨従事者が野党に投票する考えはないところの話である。 
 美国による豚肉や牛肉の売り込み説も有力だが,今回の日本政府の閣議決定は,在日米軍が撤退した後,日本國がNPT条約を脱退して核を保有するためのIWC脱退と考えている。すなわち,戦前,松岡全権特命大使が国際連盟を脱退して日本が軍備を増強したように,あるいは美国が国連人権委員会を脱退したように,核保有のために日本政府はNPT条約を脱退しようと考えている。IWC脱退問題は優れて軍事戦略上の問題である,と考える。