2019年1月8日  
 

中日対訳健康知恵袋 企画集 北京のお気に入り

政治|経済|社会|文化|中日
科学|写真|動画|対訳|企画
Apple新浪ツイッターFBLINE微信RSS
人民網日本語版>>動画

IWC脱退を決めた日本はなぜ「クジラを食べる」ことをやめられないのか (3)

人民網日本語版 2019年01月04日13:17

◆国際的な駆け引き

現在、日本国内の一部の学者は、「捕鯨業の発展は国家の安全に関わっている」との認識を持っている。

彼らは、「欧米諸国が日本の捕鯨に反対する目的は、日本を叩き潰すことにあり、彼らが設けた商業捕鯨禁止というルールは、純粋な環境保護意識によってではなく、政治・経済面で日本を押さえつけようと企てた結果である」としている。

最も積極的に動く米国の狙いは、日本の食糧供給を米国に大いに依存させ、牛肉の輸出を増やし、飲食文化でも日本を同化させることにある。

日本の一部保守勢力は、これについて深い憂慮の念を抱き、「日本人は米と魚を食べる伝統的な食文化を維持すべきだ。だが、今の若い人々にとって、パンや牛肉を食べる習慣はますます日常化しており、これは日本の民族意識に由々しき影響を及ぼし、最終的には日本の食糧の安全が欧米によって制限される結果を招きかねない」と指摘している。

このため、日本人は、「我々が鯨を捕るのは、目先の利益のためではなく、危機意識の現れである」と感じるようになった。

日本の一部の大手捕鯨企業は、現地の学校とタイアップして、学生に鯨の解剖プロセスを見学するよう招き、日本の飲食伝統と捕鯨業の「輝かしい歴史」を次世代に教えこもうと試みている。

いわゆるこうした「島国の危機的意識」だけでなく、海洋権益をめぐる争いも存在する。

捕鯨と他の海洋資源との間には、複雑きわまる関係がある。日本が捕鯨をやめないのは、これを駆け引きの道具として、自国の漁業政策を保障し、海洋資源、特に南極地域の海洋権益を奪取し、さらにはそれをコントロールする狙いがある。

日本が頻繁に自衛隊艦艇を派遣して捕鯨船による遠洋捕鯨の保護を行うといった活動に、このような政治目的の追求を垣間見ることができる。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年1月4日


【1】【2】【3】

コメント

最新コメント

空又 覚造 - 05-01-2019 09:34:44
捕鯨と食文化に関する鋭い分析である。日本語文章でこれほど優れた文章に出会うことは稀である。全ての意見に賛成はできないが大変参考になった。
 実は私も戦後生まれのクジラ肉で育った世代である。まず学校給食で。次にクジラ肉缶詰で弁当や朝食を食べていた。それほど貧乏ではなかったが,クジラ肉よりも味付けされたドロッとした油で米飯を食べた。これが実にうまい。クジラ肉はいらないほどであった。
 クジラ捕鯨の残虐性が唱えられ民間団体NGO妨害もあり,小売店やスーパーでクジラの缶詰を見かけることはだんだん少なくなって,皆無になった。
 敗戦後の日本は貧しかったので美国は学校給食用に小麦パンと脱脂粉乳(牛乳とは呼べない最低水準の品質)を提供して子どもたちの胃袋を満たしてくれた。これが無かったら日本の高度経済成長があったかどうかも怪しい。瑞穂の国の日本人民に将来美国産小麦を食べてほしいから経済援助したという説は完全否定できないが,作り話に過ぎる。
 一方で美国は欧州にもマーシャルブランMPと称して援助をしていた。これまたMPなくして西ドイツやイタリアの奇跡的な経済的発展は起きなかったであろう。
 しかし美国の経済援助が敗戦後の日本や欧州の欧州を助けた「汝の隣人を愛せ」という精神からだけでなく,別な狙いがあったのではないのかと論じられるようになってきた。たとえばTPPで無制限でどんどん美国の農産物やサービスを受け入れ「自由競争に任せよ」という新自由主義が台頭してきたからである。
 環境破壊・保護,食品の安全という観点から言えば,クジラやイルカの肉ばかりではなく美国産オレンジや豚肉(ホルマリン漬け)など安全でないものが沢山ある。狂牛病の牛肉などはその代表であろう。日本厚生省の安全基準は世界一厳しいものであったが美国によって次第に基準が緩められ,今では遺伝子組み換え食品GMOが日常横行するに至った。GMOを禁止したロシアが羨ましい。そして3.11によるフクシマ原発暴発により放射性物質は海洋に毎日放出されている。食物連鎖により太平洋の魚介類が安全でなくなりつつあるというのは事実である。クジラ肉も例外ではない。
 日本政府は次に溜めておいた「トリチウム」を太平洋に放出するよう計画している。希釈化されるので安全だというのがその理由だが,原子力委員会の委員は食物連鎖の,特に海洋汚染の専門家ではない。信用できない。
 話を戻すと,私の両親は密かに,通販でクジラ肉缶詰を購入していた。実家に帰っては私もその恩恵に預かってきたがその両親も他界した現在,クジラ肉を買うことはないが通販で取り寄せることはできる。商業捕鯨ではなくて研究調査捕鯨で捕獲したクジラ肉であり,脂身である。あるいは近海で取れたクジラ肉なのであろう。そのクジラ関連従業員が10万人以上いる事は知らなかった。
 他方,ノルウェーなどはまだIWCに加盟して割り当てられた鯨を捕獲し,日本にもいくらかクジラ肉を輸出している。日本もIWC枠内で問題なかったはずだから,政治的な理由が出てきたという説は説得的である。
 一方,クジラ捕鯨が全面禁止されたらどうなるかという問題もある。一般の魚がクジラによって大量に食べられ,一般漁民が困るという説もある。地球46億年の有史以来,一般魚とクジラは共存してきたわけだから,一般魚が減るというのは当たらない。例えば南沙諸島海域にはクジラは入ってこない。浅瀬のみならず海水温が高いからであろう。またカムチャッカ半島やクリル諸島沖合のような寒冷地にはサケ・マスが回遊してくるが絶滅したことはない。人間による「乱獲」がなければ,美国・加奈陀近海の漁場ニュー・ファンドランド沖合で一般魚がほとんど絶滅するということもなかったはずである。
 中世日本の文献にクジラ漁の話があることを本記事で初めて知った。つまり捕鯨は日本国民の伝統と言えよう。しかし「乱獲」はダメであろう。ゆえに日本はIWCに戻るべきと考えるが,これは別の問題を提起する。それは日本が核保有国になるということを意味する。
 パキスタンやインドやイスラエルや北朝鮮はNPT条約に加盟せずあるいは脱退して核開発を行って保有するに至った。多くの国々が参加する条約から脱退すれば何をすることも可能なのかどうか,という問題である。
 選挙の票が減るとか減らないとかはあまり関係ないであろう。敗戦後もともと自民党支持基盤の強い保守的な地域である。もし自民党支持を止めたとしても,野党に入れる気持ちはないであろう。IWC脱退は,捕鯨従事者が野党に投票する考えはないところの話である。 
 美国による豚肉や牛肉の売り込み説も有力だが,今回の日本政府の閣議決定は,在日米軍が撤退した後,日本國がNPT条約を脱退して核を保有するためのIWC脱退と考えている。すなわち,戦前,松岡全権特命大使が国際連盟を脱退して日本が軍備を増強したように,あるいは美国が国連人権委員会を脱退したように,核保有のために日本政府はNPT条約を脱退しようと考えている。IWC脱退問題は優れて軍事戦略上の問題である,と考える。