現時点で、NEC中国は公式なコメントを発表していない。NEC社長サイドに取材のメールを送り、事態の進展状況を聞こうとしたが、まだ具体的な回答はない。
北京公司の稲田剛社長が今月20日、2社の社員にメールを送り、売却について通知したという。翌21日には、NEC中国の代表および大連華信の代表が済南公司のオフィスに姿をみせ、集会で全社員に通知を行った。関係者の予想では、今週月曜日と火曜日にNEC中国の代表が北京と西安の社員に通知を行うという。
実際、NEC中国の資産売却には予兆があった。社員の一人は、「昨年8月、うちの会社で大規模なリストラが行われ、社員の半分近くがリストラされた。その時は『N+2』(基本の退職金に2ヶ月分の給与を加算)の基準で賠償金が支払われた。今考えると、会社は早くから資産売却を考えていたが、影響を少なくするため、まずリストラで社員を減らした可能性がある」と話す。
ここ数年、NECはハードウェア事業の縮小を進めていた。最も注目を集めたのは2011年、聯想(レノボ)集団にPC事業を1億7500万ドル(1ドルは約107.5円)で売却したことで、その際にほぼすべての合弁会社の株式をレノボに譲渡した。
NEC子会社の業績はそれほど楽観できるものではない。昨年の北京公司の業績は赤字で、同年8月には社員の半数近くをリストラした。同社の社員は、「NECの今回の動きはここ数年の中国での人件費や賃貸料などのコスト上昇と関係があるのかもしれない。株式譲渡方式で会社の資産を転売すれば、社員への賠償をうまく免れることができる」と分析する。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年6月24日