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中国の若者たちを惹きつける「舞踏」とは? 原田伸雄氏公演

人民網日本語版 2019年07月30日08:53
中国の若者たちを惹きつける「舞踏」とは? 原田伸雄氏公演
舞踏家・原田伸雄氏による「光之海」(撮影・玄番登史江)。

舞踏家・原田伸雄氏による公演が26日、北京の后山芸術空間で行われた。公演には原田氏のほか、原田氏が福岡を拠点に主催している舞踏靑龍會のメンバー、また公演に先立ち24日と25日の2日間にわたり開かれたワークショップに参加したメンバーも出演した。人民網が伝えた。

「舞踏」は日本の舞踊家・土方巽氏を中心に1960年代ごろから形成された前衛舞踊の様式で、海外では「Butoh(ブトー)」と呼ばれ、日本独自の伝統と前衛の混合形態を持つダンスのスタイルとして認知されている。中国でもここ数年、公演などが行われるようになってきており、原田氏も中国でたびたび公演やワークショップの活動を展開している。

ワークショップの参加者は若者が中心。プロのダンサーだけでなく、心理学や音楽に関わる人、舞踏の公演を見て興味を抱いたという人まで様々。原田氏は、「中国の若者たちはとにかく好奇心が強く、熱心。毎回私の方がエネルギーをもらっていると言ってもいいくらい」と評す。

ワークショップでは実際の動きだけでなく、舞踏の精神や理念が紹介される内容となっており、今回初参加という北京でプロダンサーとして活動している孟慶山さんは、「これまでバレエを始めとして様々なダンスや理念を学んできたが、これまでは踊りとは何か?ということを教えられたことはなく、今回はとても勉強になった」としているように、参加した若者たちの心に響くところがあったようだ。

舞踏の公演を見て、興味を抱き参加したという邱廉潔さんは、1日目のワークショップを終えて興奮冷めやらぬといった面持ちで、「舞踏は感覚をもつ肉体で、悟りを得た命に踏み込んでいく踊りの可能性をさらに広げてくれる。今日のワークショップで私は肉体がこれほど多くの元素をもち、これほど多くの元素で自分自身を表現できるのだと気づくことができた」と語ってくれた。

また今回で4回目の参加になるという黎珈璐(Lydia)さんは、「舞踏とは一種の成長の過程だと思う。毎回参加するたびに、自分の成長を感じることができるし、先生が話す内容に対しても、毎回その理解や会得するものが異なる」とその参加し続ける理由について語った。

前衛舞踊と聞くと尻ごみをしてしまいそうだが、原田氏の語る、「これが無ければ、あれが無ければというのではなく、今持っている自分のカードをどう切るか、自分をどういかしていくかを考えるべき。本当はそれが一番大事なことなのに、それができない。自分にないものにあこがれてもだめ。自分の体や抱えているコンプレックスはどうしようもないもの。それから逃げるのではなく、それをいかしていくべき」という考えは単に踊りという概念にとらわれず、人としての生きざまにも通じるところがある。ますます豊かになっていく中国の若者たちは、物質的な豊かさの先にある、こうした心の乾きを癒してくれるような何かを舞踏に求めているのかもしれない。(文・玄番登史江)

「人民網日本語版」2019年7月30日

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