博物館の文化クリエイティブ商品が若者に人気なのはなぜ?

人民網日本語版 2019年08月28日09:35

第1回天猫新文化クリエイティブ大会が先ごろ北京市の今日美術館で行われた。多くの文化・博物機関が出展したデザイン感あふれる文化クリエイティブ商品を目当てに多くの人が来場し、商品を見て、写真を撮っていた。人民日報海外版が伝えた。

清華大学文化経済研究院とオンラインショッピングモール・天猫(Tmall)が共同で発表した「新文化クリエイティブ消費動向報告」によると、ここ数年、博物館の文化クリエイティブ市場が急成長を遂げ、ますます多くの消費者がネットで文化クリエイティブ商品を買うようになり、文化クリエイティブはすでに博物館と若者をつなぐ新たな方式になっている。過去1年間で、淘宝と天猫上の博物館オンラインショップ旗艦店の累計アクセス数は延べ16億人に達している。これは中国全土の博物館の延べ来場者数の1.5倍で、うち1億人が「90後(1990年代生まれ)」だった。データは、ネットでの文化クリエイティブ商品購入が若者の消費における新動向となっていることを示している。

間もなく「600歳の誕生日」を迎える故宮は、国内の文化・博物機関の中でも比較的早くから文化クリエイティブ商品を手掛け、多くの成功経験を積み重ねてきた。故宮文化クリエイティブチームは自身の文化資源を掘り起こし、実用性と芸術的美しさを兼ね備えたさまざまな商品を打ち出し、消費者に好まれている。昨年、故宮口紅が爆発的にヒットしたのに続き、今年4月に発売された故宮「初雪」スパイスボトルもネットで人気の商品となった。このスパイスボトルは、塩か砂糖を入れるだけで、故宮の琉璃瓦や獅子の石像、鶴の銅像に雪が積もる美しい景色が浮かび上がり、人々の「故宮の雪景色を鑑賞したい」という願いをかなえている。

「90後」の大学生である高緋凡さんはよく博物館の文化クリエイティブ商品を購入している。高さんにとって、「これらの商品は見た目もいいし実用的。さらにコレクションの価値もある」という。

文化クリエイティブ商品を開発する過程で、ビッグデータやVR(仮想現実)、3Dプリンターなどハイテクもますます広範に応用されており、これまで文化・博物機関が実現できなかった効果をあげている。

天猫プラットフォーム運営事業部の家洛総経理は、「ビッグデータは博物館がよりターゲットをしぼった文化財商品開発を展開するのを手助けできる。例えば、国家博物館オンラインショップの旗艦店がオープンしたばかりのころ、商品は芸術系の置物がメインだったが、ビッグデータ分析により、若い消費者はさらに豊富な商品カテゴリーを好んでおり、しおりやマスキングテープ、マグネットなどコンパクトで実用的な文化クリエイティブ商品の人気が高いことが分かった。国家博物館はこうした消費者ニーズに合わせて新商品を開発したところ、良好な効果をあげ、今ではしおりだけでも月の販売取引数が2000件以上に達している。

業界関係者は、「中国の文化クリエイティブ産業は西側のすでに成熟した産業モデルとはまだ一定の距離があり、博物館文化クリエイティブ商品が急速に発展する現状においても、まだ多くの問題が存在する」と指摘する。ある消費者は取材を受けた際、「博物館文化クリエイティブ商品は同質化が深刻で、見ていてうんざりしてしまう」としていた。また、「文化クリエイティブ商品は見た目重視で『顔面偏差値』しか追求しておらず、質があまりよくない。扇子や携帯電話スタンドを買ったが、何回か使ったら壊れてしまった」と指摘する人もいる。

清華大学文化クリエイティブ発展研究院副院長の殷秩松氏は、「博物館文化クリエイティブ商品は可愛さをアピールするだけでなく、文化の内包するものをより深く掘り下げる必要がある」と指摘する。殷氏は、博物館文化クリエイティブ商品はまず購入シーンの革新を考えるべきだとし、「これまでのように館内を参観した後に記念品を買って帰るという形ではなく、一般の人との距離を縮め、気持ちの面でのつながりを作って共感を醸成し、博物館とライフスタイルを結びつける必要がある」と語っている。 (編集AK)

「人民網日本語版」2019年8月28日 

  

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