湖南省長沙市で28日に開催された第2回空天カップ全国革新・創意コンクール決勝戦で明らかになったところによると、国防科技大学空天科学学院の革新チームが、電気クラゲ(カツオノエボシ)をヒントに「成層圏飛行船バイオデザイン方法」を世界で初めて提起した。この研究により、近宇宙空間における長期滞在、安定飛行を行う成層圏飛行船が製造される見込みだ。科技日報が伝えた。
成層圏飛行船は近宇宙空間低速飛行体の代表格で、浮遊ガスを使い浮力を得て、近宇宙空間下層の低速風帯及びエネルギー消費の少ない太陽放射を利用することで、1カ月もしくは1年単位の超長時間地域滞在を実現する。そのため「成層圏衛星」とも呼ばれ、偵察・監視、地域警戒、環境モニタリング、通信中継などの軍民分野で広く応用できる。しかし現時点では、長期的に滞在し安定的に飛行する成層圏飛行船は世界でも少数だ。
電気クラゲが浮き袋とガス線を連携させ浮力と圧力を得る現象からヒントを得て、国防科技大学のチームは成層圏飛行船の「メイン・サブ気嚢」及び「単一嚢」技術案において、環境熱効果を受けながら浮力と圧力を調整するという難題の解消に成功した。
プロジェクトの責任者である楊躍能准教授によると、チームは電気クラゲの形状を模倣することで、嚢の空気動力学的外形を設計した。通常の外形と比べ、典型的な飛行条件であれば揚抗比を70%以上引き上げ、ペイロードを300−800キロ増やすことができる。同時に機能の模倣により初めて複数の嚢及び熱調整気嚢の新しいコンセプト案を打ち出し、成層圏飛行船の近宇宙空間における「熱膨張・冷収縮」がもたらしうる破裂と「重量超過」の問題を解消した。飛行シミュレーションと飛行船の実証実験により、熱調整気嚢の体積比が10%の時に、環境熱効果を受けた嚢内の最大圧力を9.6%引き下げられることが分かった。これは浮力と圧力の調整という難題に効果的な案を提供している。この革新的な成果は現在、国際発明特許を1件、国家発明特許を3件出願している。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年8月29日