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外見は電話ボックスそっくりだが、中にはハイタイプのスツール2脚と選曲用タッチパネルスクリーンがある。このような、せいぜい2人しか入れないミニカラオケが、数年前から、人気を集めている。各大型商業施設やシネコンでは、多くの若い独身者がミニカラオケボックスで独りカラオケを楽しみ、寂しさを解消している。艾媒諮詢(iiMedia Research)の統計データによると、2017年、中国におけるミニカラオケの市場規模は35億2千万元(1元は約15.1円)に達し、うち独身者による利用は35.6%を占めた。
中国の鍋レストランチェーン呷哺呷哺が開発した一人鍋、微信(We Chat)で予約可能で利用1回ごとに料金が支払える小型自主フィットネス・ボックス、オンライン・オフラインで爆発的に売れている小型家電、大量に登場している各種計測アプリ、雨後の筍のごとく出回っている小ぶりで美しさを謳った独身用アパート、さらには商品の量を減らしてミニパックで売り出すメーカーまで、独身者をターゲットとしたさまざまな商品が世に出ている。現在、さまざまな「おひとりさま消費」を狙った商品とサービスが、生活や娯楽の各方面に蔓延し続けている。これまでは、これらは、やや異なるイメージがあり、ややもの悲しさを感じさせるような消費パターンであったが、それが「合理的」、「自由自在」といったポジティブなイメージにシフトしている。
〇巨大なポテンシャルを持つビジネス
ある調査会社の統計データによると、独身者のうち57.69%は、「孤独を紛らわすために消費を行っている」としており、「孤独の解消を目的として消費することはない」とした人は15.68%にとどまった。
アリババが発表した「中国空の巣青年図鑑」によると、独身者の多くは、「高給の職業」に従事しており、これらの人々は、かなり高い消費能力を備えているだけではなく、よりオープンな消費観を持っており、より大胆な消費行動をする。
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膨大な数に上る「お金と時間が有り余っている」独身者によって、巨大な市場ニーズがもたらされている。あるSNSメディアが1万人を上回る職場人に対して実施した「孤独感」をめぐる調査によると、独身者の75%は、「孤独を解消するために毎月最低1千元を消費する」と答えた。
消費市場における「おひとりさま経済」の興隆は、多くのデータからも読み取れる。2017年、フードデリバリー「美団外売」を1億3千万人の独身者が利用した。2018年、中国のオンラインゲーム利用者数は6億2600万人に達した。また、さまざまな研究から、ゲームは孤独を解消するための重要なツールであり、「おひとりさま消費」のうち、ゲームへの投入額は50%を占めている。2019年、独身者による「七夕」旅行は、前年同期比48%増加した。