上海国際問題研究院は1日、「新型コロナウイルス感染による肺炎に立ち向かう中国:進展と影響」報告書を発表した。「新型コロナウイルス感染による肺炎は中国経済にどのような影響をもたらすか?」という点について同報告書は、「国内外の機関やメディアが発表している今回の新型コロナウイルス肺炎が中国経済に与えるマイナスの影響に関する分析には、主に次の三つの代表的観点が含まれている。一つ目は打撃論で、今回の新型コロナウイルス肺炎が減速する中国経済に与える影響は極めて大きく、成長が急激に減速し、世界経済を下押しするという見方。二つ目はコントロール可能論で、2003 年にSARSが経済に与えた打撃と影響についての分析を踏まえ、今回の新型コロナウイルス肺炎が中国経済に与える影響は全体としてはコントロールが可能で、第1四半期の経済成長が減速する以外、年間の経済運営には影響しないとする見方。三つ目は不確定論で、新型コロナウイルス肺炎の経済に対する影響は予測が難しく、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大と抑制の進展次第とする見方だ。この不確定論では、なんといっても今日の中国経済の規模は 2003 年の約 9 倍に上り、2003 年のGDP 総量は 11兆7千億元(1元は約15.5円)だったが、2019年は 99兆元に達しているため、以前の経験で今日の経済を検証することはできないとしている」と指摘した。
中国はこれまでも伝染病の流行や不測の事態の打撃を何度も受けており、そのうち影響が比較的広範囲に及んだ伝染病としては、 2003 年のSARS、2009 年のA型 H1N1 インフルエンザ、 2013 年の H7N9 鳥インフルエンザの3回となる。だが、 2020 年年初の新型コロナウイルス感染による肺炎の打撃はこれまでとは大きく異なっている。その違いは次の2点に主に表れている。一つ目は、背景となる環境の違いだ。内部的に見ると、中国経済は高度成長から質の高い発展への転換期にあり、システマティックな金融リスクの防止と汚染対策、貧困脱却という三つの難関攻略に取り組んでいる。外部的には、グローバル化がこれまでにない試練にさらされており、中米貿易摩擦の暗雲がようやく取り除かれつつあるなかで、中国が新型コロナウイルス感染による肺炎という打撃に直面したことで、国内外の経済全体の環境に本質的な変化が生じた。またその一方で、打撃の幅も異なっている。今回の感染が波及している地域はより広域で、武漢が都市全体の隔離措置を取り、中国全土で約 30の省・自治区・直轄市が一級対応措置を取ったのは建国以来初であり、経済に対する打撃は全国的な範囲に及ぶ。マイナスの影響、特に中小企業への影響はまだはっきりとは表れておらず、雇用や地方政府債務、人民元為替相場の安定も試練に直面している。
しかし、中国経済の強靭性を過小評価するべきではない。新型コロナウイルス肺炎の経済への影響はすべてがマイナスというわけではなく、中国経済は依然として比較的粘り強い。短期的に見ると、今回の新型コロナウイルス肺炎はすべての企業にとって不利というわけではなく、電子商取引やオンラインゲーム、娯楽関連企業にとっては有利になる。また、中国政府の財政保障能力は誰の目にも明らかで、新型コロナウイルス肺炎の抑制について言えば、2020 年 1 月 29 日現在、中国の各級財政は累計で新型コロナウイルス肺炎対策補助金 273億元を拠出し、新型コロナウイルス肺炎対策のための資金を保障している。新型コロナウイルス肺炎の感染状況の進展に応じて、中国は相応の政策措置を講じて対応するだろう。中期的には、中米貿易摩擦の不確定性は第一段階の合意によって大きく緩和されており、米国が新型コロナウイルス肺炎を理由に中国の公約履行能力を疑問視しているものの、まさに新型コロナウイルス肺炎のために中国の農産物輸入は減少せず、さらには医療衛生設備や機器などその他製品の購入が増えることも予想される。今回の新型コロナウイルス肺炎の感染拡大がちょうど「第14次五ヶ年計画(2021-2025年)」策定という重要な節目に当たっており、この5 年間の経済発展計画が経済を下支えすることが期待される。長期的には、中国は世界第2のエコノミーであり、消費能力や都市化、5G ・人工智能(AI)などニューエコノミー分野における極めて大きな潜在力が今回の新型コロナウイルス肺炎で消えてなくなることはないだろう。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年2月4日