新型コロナウイルスによる肺炎の感染状況を国際社会は連日注視している。国際組織、外国政府、専門家、学者、メディアの一部は行動を起こし、理性的な対応を呼びかけ、人々が事実を知り、落ち着かせる手助けをしている。
国連のグテーレス事務総長は4日、新型肺炎を迎え撃つ中国の努力を十分に評価したうえで、国際社会に対して一致団結し、差別的行為を避けるよう呼びかけた。グテーレス事務総長は年頭記者会見で「新型肺炎の感染拡大を前に、中国は多大な資源を動員して対処している。国連は中国の努力を十分に評価している」と述べた。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は先日「デマや誤った情報が広まるのを阻止する」ことを提言し、「各国は事実でない言論についてきちんと説明し、引き続きWHOと情報を共有し、団結・協力して感染症に打ち勝つべきだ」との見解を示した。
WHOは4日の記者会見で「WHO感染症情報プラットフォーム」の設置を発表した。WHOで世界的感染症対策チームのトップを務めるシルヴィ・ブリアン氏はこの情報プラットフォームについて、企業、メディア、人々に感染症関連の情報を得る新たなルートを提供するものだと説明した。
イタリア保健省は4日、新型肺炎の感染状況に関するSNS上のフェイクニュースを抑え込むことでツイッター社と合意に達したことを発表。ロベルト・スペランツァ保健相は「情報の広がりに対して正しい管理を行い、フェイクニュースを打ち消さなければならない」と表明した。
シンガポールのリー・シェンロン首相は「政府は感染状況に関する情報を各種チャンネルを通じて直ちに公表する。国民は政府のSNSと大手メディアから最新情報を得る必要がある。デマは自壊する」と述べた。
カンボジアのフン・セン首相は感染状況をありのままに報道して、SNS上のフェイクニュースを打ち消すようジャーナリストと大手メディアに呼び掛けた。カンボジア保健省は連日様々な手段で感染状況に関する知識を民衆に広め、その情報識別能力を高めている。
タイ国家観光局は専門の危機対処センターを設置することで、観光業と関係する感染状況情報をコントロールし、直ちに対応して国民の認識を誘導している。
米国のSNSでは、「ドクター・マイク」として有名なミハイル・ヴァルシャフスキー氏が数百万人のチャンネル登録者を得ている。同氏は先日、「新型コロナウイルスに関する真相」と題する科学知識普及動画を制作。感染症について、信頼できる良い機関から情報を得るよう呼びかけた。「感染症に対しては警戒し続ける必要があるが、焦ってはならない」。記事送稿の時点で、この動画の再生回数はすでに480万回近くに達していた。
ベルギー・ルーヴェン大学のマーク・ヴァン・ランスト教授(微生物・免疫・臓器移植学)は本紙取材に「全面的で正確な情報は世界の科学者が感染症を正確に判断する助けとなり、対策に貢献する。中国の科学者が新型コロナウイルスの遺伝子配列を国際社会と共有したのは重大な貢献だ」と述べた。
米ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)のウェブサイトは「新型コロナウイルスは物体表面での生存能力が弱く、環境温度下で数日間または数週間の輸送を経た後には、製品や包装を通じて感染するリスクは非常に低くなる」と説明した。Voxは感染状況について特集を組むとともに、WHOの情報を引用して「新型コロナウイルスはパンデミックに変わる」などの見解を否定し、中国が迅速な行動を取って感染拡大を抑制していることを評価した。
米ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンターのアーサー・キャプラン教授(生命倫理学)は「事実でない情報がインターネット上に溢れている。多くの見解にはエビデンスの支えや科学的根拠がない。こうした中、メディアと学者は非常に重要な役割を演じている」と指摘。「SNSは事実でない情報を見分ける必要がある。学者も科学的根拠のある見解を分かち合う必要がある。そうしてこそ、人々がより良い判断をする助けとなる」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年2月7日