原料がマスクになる工程は簡単に言えば、原料のポリプロピレン樹脂、メルトブロー材料、メルトブロー不織布、マスクの生産という4つの部分からなっている。
メルトブロー材料を生産する企業の専門家の話では、「現在、中国国内にはメルトブロー材料の十分な供給がある。日産1億枚として計算すると、1日に必要なメルトブロー材料は大体100トン余りだ。2019年のメルトブロー材料生産能力は10万トン(生産量は7万トン)で、最近増加した生産能力15万トンを合わせると25万トンになる。操業の再開につれて需要は満たされるようになるだろう」という。
原材料の生産能力は十分にあり、価格も下がっているのに、不織布はなぜ値上がりしたのだろうか。
石油化学工業の情報を提供する隆衆資訊の竇立坤アナリストは、「新型コロナウイルスによる肺炎が拡大すると、既存のマスクメーカーが積極的に生産を拡大し、限界まで生産しただけでなく、市場には新たに大量の生産能力が登場し、BYD、上汽通用五菱汽車、富士康といった製造業大手もその中に含まれていた。この局面が中国国内で原材料の供給不足を激化させ、特に不織布の不足を招いた」との見方を示した。
不織布の生産能力を早急に拡大できるか?
多くの人が戸惑いを感じるのは、自動車メーカーやアパレルメーカーなどが相次いでマスク生産に転換し、元からのマスクメーカーも全力で生産に当たりながら、不織布で同じような増産態勢が取れないのはなぜかということだ。
業界関係者は、「これまでは全国の不織布ニーズは高くなかったので、限られた生産ラインを維持すれば生産を続けられた。不織布は生産周期がとても長く、今すぐに生産ラインを立ち上げても、出荷できるのは8ヶ月後になる」と話した。
山東道恩高分子材料股フン有限公司(フンはにんべんに分)の于暁寧会長は、「不織布の生産ラインは投入するものが多く、設備の生産から設置までの周期が長い上、重要部品を提供できるメーカーが少ない。投入が多く、周期が長いため、設備を整えて稼働した時にはもうニーズはなくなっているのではとためらう企業は多く、投資への積極性は高くない。マスクの生産ラインなら、設備さえあれば半月か20日で出荷できる」と説明した。
しかし悲観しすぎることはない。業界関係者によれば、「春節(旧正月、今年は1月25日)連休後、不織布市場の資源が不足するにつれ、国内の一部の企業が次々に急いで不織布生産工程の重要設備を注文し、推計では溶接機にはすでに100台以上の注文があって製造が進められており、新たに増加する生産能力は1日あたり200トンを超える」という。
また同関係者は、「3月以降、不織布の市場における供給不足は徐々に解消されていくだろう。上半期に中国の生産能力は増加を続け、予想では既存の生産能力と転換した生産能力を合わせて1日あたり300トンに迫り、1日3億枚分のマスクを生産するための原材料のニーズを満たせるようになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年3月9日