中国石油化工集団(中国石化)は2月6日、マスクの生産に必要な原材料の不織布の在庫があるので、マスクを作る機械を手に入れてマスク生産に協力したいとしていた。しかし最近は不織布が不足気味で、マスクメーカーが争って買い求めるようになった。中国新聞社が伝えた。
機械はあるが、不織布がない
中国石化はこのように呼びかけたが、業界の枠を超えてマスクを生産する比亜迪(BYD)は、「うちには生産ラインはあるが、不織布が手に入らない」状態だ。
不織布の不足に悩むのは比亜迪だけではない。マスクメーカーの責任者は、「一部メーカーの不織布は調達価格が1トンあたり15万元(1元は約15.2円)に跳ね上がり、それでも現物は手に入らない。在庫がなくなって生産を停止したメーカーも数社ある」と話す。
湖北省仙桃市の複数のマスクメーカーの話によると、「今は普通の使い捨てマスクの在庫はあるが、医療用マスクは原材料不足で在庫がない。不織布には民間用と医療用があり、今すぐに必要なのは医療用の基準を満たした原材料だ」という。
不織布はマスクの「心臓」
不織布がなぜこれほど重要なのか。不織布はマスクの構造の中間にあるフィルターであり、比較的大きい粒子をキャッチするだけでなく、表面の静電気の力で微小な粒子、細菌、ウイルスの飛沫も吸収する。マスク生産では非常に重要な原材料で、N95マスク、KN95マスク、医療用マスクの「心臓」と呼ばれている。
医療用マスクは3層以上の不織布からなり、内側と外側がスパンボンド不織布の単層、中間がメルトブロー不織布の単層または多層というSMS構造をなしている。メルトブロー不織布はメルトブローフィルターの最も優れた原材料だ。
3層構造がすべて不織布であれば事足りるのかといえば、そうではない。内側と外側のスパンボンド不織布は汗や水に強く、中間のメルトブロー不織布は細菌やウイルスを吸収して広がりを抑える。スパンボンド不織布の繊維は直径が髪の毛の3分の1ほどだが、メルトブロー不織布は30分の1ほどでさらに細い。この2つは生産の技術も工程も異なる。