英紙「フィナンシャルタイムズ」電子版の5月4日付記事によると、経済を深刻な凍結状態に陥らせた制限を西側政府が緩和し始めるにあたって、多くの多国籍企業がその中国支社のこの数週間の経験を参考にし、緊張感を抱いている消費者と従業員を安心させるノウハウを学んでいると報道している。
スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)はアナリストに対し、「中国は新たなやり方の『シナリオ』を示した。例えばシフト交替前にバリスタの体温を測定するなどだ。米国のスターバックス店舗が今週から営業を開始する際も、この措置を採用する」と述べた。
英メディアは、「多国籍企業は、何をやり、何をやらないかをリストアップすることになるだろう。だが、世界が中国の経験に注目している理由はこの点だけではない。中国の都市封鎖解除の成功は、国内経済を回復させ、世界経済の成長を促す助けになる」としている。
第2四半期に入ってから中国の工場や小売業者が企業活動を再開させており、フォード社やピザハット、ケンタッキーフライドチキンを傘下に持つヤム・ブランズなども安全規定を調整している。またその他のところでもこうした経験を参考にすることができる。
例えば、ヒルトンホテルグループは、客室のうちスイッチやリモコン、浴室設備表面、ドアノブなど10ヶ所を「高接触」ゾーンとして特定し、他のところより念入りに清掃することを明らかにした。そのライバルであるアコーホテルズグループでは、同グループが中国に展開している大多数のホテルやレストランに客が入る際、体温測定を受けてもらっているという。
新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大する前から中国での販売が低迷していた米自動車メーカーのフォード社は、リスクを冒したくないと考える消費者を引きつけようと、さらに一歩進んだ措置を取っている。フォード社ではアプリソフトを開発し、ネットでより便利に車を購入できるようにし、「ゼロ接触」の仕組みを作り、「消毒済みの自動車を顧客の自宅まで届ける」ことができるようにした。
同社はさらに車の製造方法を見直し、従業員どうしの間隔をさらに広く取るようにした。
フォード自動車のジム・ファーリー最高執行責任者(COO)は先週、アナリストに対し、「このプランは欧州でも踏襲する。我々が世界各地で業務を再開する際にもこのプランを実施する」と述べた。