新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中、WEB面接が徐々に盛んになっている。求職者にしてみれば、家にいながら仕事を探すことができるし、あちこち走り回らなくてよいし、衣装や小道具をそろえる必要もない。一見すると素晴らしいことのようだが、このコストのかからない採用スタイルは便利であると同時に、一部の企業にとっては今ひとつよくわからないものにもなっている。「中国青年報」が伝えた。
上海のとある企業は2月10日にWEB面接をスタートしたが、これまでに調達マネージャーに応募してきた候補者5人のうち3人に内定を蹴られた。WEB面接は今の状況では最適解ではあるが、人事担当の孔麗さんは、「自分の積み重ねた努力が無駄になるような気がする」と言う。
孔さんは次のように説明した。「オンラインでの面接はコストはかからないが、内定辞退率がこれまでに比べて格段に高い。応募してくる人の多くは家にいてWEB面接は次善の策に過ぎないが、とりあえず試してみようというくらいの気持ちだ。本当に自分の希望とマッチしているのかを十分に考えていない。採用担当者がこの人がいいなと思っても、いろいろな理由を挙げて内定を断るかもしれない。これまでは応募してきた人の意欲をはかる最も簡単な方法は、実際に面接会場に現れるかどうかだった」。
安徽省の大手教育関連企業も似たような問題に直面する。マーケットや営業販売のポストを募集した際、採用担当者から、応募者はあまり重視していないとの反応が返ってきた。服装など目に見えるところの準備は特にいい印象がないとのことだ。同社の人事担当者は、「応募者の意欲などいろいろな点をみても、WEB面接とオフラインの実際の面接とではやはりある程度の開きがある」と述べた。
前出の孔さんは応募者をより正確にふるいにかけるため、性格心理テストなど総合的なチェックを先に行ってから、業務部門の面接に進んでもらうかどうかを決定することにしたという。
最初段階の人事担当者との電話による意思疎通の中で、より長くより深く話し合うことにしている。例えば「よく出張があるポストなので、応募者の家庭環境を詳しく知りたい。本人と家族は上海に住んでいるのかとか、子どもはいくつかとか」。「考えられるリスクは先に伝えておきたい。賃金はこの水準でOKか聞きたい。仕事のきつさはこれくらいで、家族の世話もあると精神的にも肉体的にもかなり疲れると思うけれど、そのことをちゃんと考えているかも聞きたい」。