中国の研究チーム、新型コロナワクチンの動物実験研究結果を公表

人民網日本語版 2020年05月11日08:55

中国医学科学院メディアセンターによると、同院医学実験動物研究所の秦川氏率いるチーム、科興控股生物技術有限公司、中国科学院生物物理研究所の王祥喜氏率いるチーム、浙江省疾病予防管理センターの張厳峻氏率いるチーム、中国食品薬品検定研究院、中国疾病予防管理センター伝染病予防管理所など複数の機関が協力して、新型コロナウイルスワクチンの動物実験結果をこのほど、科学誌「サイエンス」に発表した。同研究では、新型コロナウイルスの不活化ワクチンの安全性と有効性が、アカゲザルを使った実験で確認された。新型コロナウイルスワクチンの動物実験研究結果が公開されるのは今回が初めてとなる。光明日報が伝えた。

研究者は、新型コロナウイルスに感染した入院患者11人(うち5人はICUの患者)の気管支肺胞洗浄液から複数の新型コロナウイルスの毒株を分離した。うち、中国の患者から5株、イタリアの患者から3株、スイス、英国、スペインの患者からそれぞれ1株を分離している。この11の毒株は、現在流行中のウイルスの個体群をある程度代表している。

研究者は、ワクチンの作成にCN2株を選び、新型コロナウイルスの増殖を防ぐ純化不活化ワクチンの候補を開発し、パイロット生産を始めた。同ワクチンはマウス、ラット、非人類霊長類において、新型コロナウイルスの特異的な中和抗体の生成を誘導できた。それら抗体は、選ばれた他の10株(CN1、CN3-CN5、OS1-OS6)の代表的な新型コロナウイルスの毒株を効果的に中和することができ、世界的に広く流行している新型コロナウイルスの毒株を中和する可能性があることを示している。

その後、研究者は、ワクチンにより免疫を得たアカゲザルに、感染実験を行い、ワクチンの免疫原性と保護効果を評価した。研究者は、初日、7日目、14日目に、アカゲザルにさまざまな量のワクチンを注射したところ、2週目に、Sタンパク質特異性のIgGと中和抗体の生成が確認され、ワクチン接種から22日目にウイルスの感染実験を行った。その結果、対照グループと比べると、ワクチンにより免疫を得たアカゲザルの肺部の病理組織の変化は目に見えて小さくなり、ウイルスの量も明らかに減っていた。注射されたワクチンの多いアカゲザルは感染から7日目に、喉や肛門、肺部からウイルスが検出されなくなり、新型コロナウイルスの攻撃に対する完全な保護を提供する抗体依存性感染増強現象も観察されなかった。研究者は、臨床指標や生化学指数の観測を通して、同ワクチンの安全性も検証し、ワクチンを接種された全てのアカゲザルから、発熱や体重の減少などの現象は確認されず、食欲や精神状態も正常だった。血液や生化学分析を見ると、ワクチンを接種されたアカゲザルのリンパ球亜群の割合やカギとなるサイトカインを、対照グループと比較すると、明らかな変化はなかった。29日目、ワクチンを接種したアカゲザルの肺や心臓、脾臓、肝臓、腎臓、脳などの各種器官の組織に対する病理学評価は、同ワクチンは顕著な病理学的特徴を引き起こしていないことを示している。それら結果は、同ワクチンがアカゲザルにおいて安全であることを示している。

上記の研究結果に基づいて、中国国家薬品監督管理局は4月13日に、同ワクチンの臨床研究を承認した。Ⅰ期臨床研究は同月16日に江蘇省徐州市■寧県(■は目へんに隹)で始まり、ボランティア第1陣がワクチンの接種を受けている。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年5月11日

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