香港大学が「スーパースチール」を開発、性能が航空宇宙用鋼材を上回る

人民網日本語版 2020年05月15日11:03

香港大学は12日、同大学機械工程学部の「スーパースチール」研究開発チームが米カリフォルニア大学バークレー校と協力し、このほど「スーパースチール」の耐破壊性、すなわち靭性の研究で重大な進展を実現した。その性能は現在の航空宇宙用鋼材を上回る。新華社が伝えた。

香港大学の研究者によると、金属の降伏強度、延性、靭性という3種の属性にトレードオフの関係があるというのが従来の科学的な観点だ。すなわちある属性の機能を強化すると、残りの1種か2種の機能が低下し、3種を同時に強化できないということだ。工業応用において、高級鋼材は高い耐破壊性を持つ必要があり、頑丈である上に、部材の事前失効によるアクシデントを回避しなければならない。だが鋼材の強度を上げればその靭性が低下し、材料の脆弱性が上がる。関連する研究活動は困難を極めている。

香港大学機械工程学部の黄明欣教授が率いるチームは、米カリフォルニア大学バークレー校、米ローレンス・バークレー国立研究所と協力し、材料の降伏強度を強化することで新たな増靭化メカニズムを構築し、鋼材の靭性を大幅に高めた。「スーパースチール」は高級鋼材に必要な高強度、延性、靭性という3つの重要指標の高水準を実現した。その性能は現在の航空宇宙用マルエージ鋼を上回るが、コストはその5分の1に過ぎない。

チームの説明によると、「スーパースチール」は各国で特許出願中だ。チームも業界と協力し、まず高強度橋梁ケーブル、防弾チョッキ、自動車用スプリングなどのプロトタイプを作成しテストを行う予定だ。研究開発成果は産業化・商品化される見込みだ。

同研究成果は5月8日付の学術誌「サイエンス」に掲載された。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年5月15日

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