酒を売る会社が自動車作りに注目し、レストランを経営する会社が投資に乗り出し、家を売る会社が豚を飼い始める……上場企業が「副業」を始めて業界の枠を超えるのはそれほど珍しいことではなく、かなり大々的に行われている。一時の熱が冷めた時、踏み出した足は引っ込められるのか、それともさらに前に向かって進むのか。中新経緯が伝えた。
豚がクロスオーバーの寵児に
猪年(日本ではイノシシだが、中国ではブタ)の2019年は「ブタの特別なシーズン」になった。豚肉価格が高騰して、養豚企業が大きな収益を上げたのを見た多くの企業が養豚業に参入した。
少し前には、不動産の万科集団が鳴り物入りで養豚業界に進出して大いに注目された。 5月7日夜、万科の求人ミニプログラム「万招君」は、養豚場の事業拡大担当マネージャー、集落型養豚場のゼネラルマネージャー、養豚場の予算管理担当マネージャー、養豚場の開発・申請・報告担当者、養豚場の獣医の5つの職種の求人情報を発表した。
その前には同じく不動産の碧桂園集団が養豚事業部の責任者を今回は万科が養豚場のゼネラルマネージャーを募集したが、その前には同じく不動産の碧桂園集団が養豚事業部も責任者を募集していた。だが、豚の人気は最近になって高まったというわけではない。2009年にはポータルサイトである網易公司の丁磊最高経営責任者(CEO)が養豚計画を打ち出し、14年には不動産の万達集団の王健林会長が貴州省で養豚を始めると発表し、その後、ショッピングセンターの万達広場を通じて全国で豚肉を販売している。同じく不動産の恒大集団の創業者である許家印氏は 3億元(1元は約15.1円)の投資を行い、貴州省で110以上の養豚をメインとする農業・畜産業拠点の建設を支援した。ただ万達も恒大も養豚事業は「貧困者支援」が目的だった。
18年2月には、ECの阿里巴巴(アリババ)が人工知能(AI)プログラム「ET大脳」(ETブレーン)での養豚計画を発表し、同年11月には、同じくECの京東も養豚業への進出を発表し、中国農業大学、中国農業科学院と協力して、AIを活用した養豚プランを打ち出した。
国際資本もこの「うまみのある肉」を放ってはおかず、米ゴールドマン・サックスは約3億ドル(1ドルは約106.9円)の資金を投入し、湖南省、福建省一帯で全額出資して養豚場を買収した。ドイツ銀行グループも6千万ドルを投じて上海宏博集団の養豚場の30%の株式を取得した。