日本企業が感染症で中国から移転か? (2)

人民網日本語版 2020年05月20日10:37

また、ある匿名の日本のメーカーは、「当社は引き続き中国で製品を製造する。製品を『中国向けに設計する』からであり、販売先も中国だ。よって他の国への移転には何のビジネス的意義もない」と述べた。

調査によれば、こうした企業のほかにも多くの日本企業が、「中国での発展戦略は変わらない」と答えた。こうした企業は中国を輸出・加工拠点と考えているだけでなく、中国が今やこれらの企業が生産する製品の消費市場となっているからだ。とりわけ『地産地消』モデルを取る日系企業がサプライチェーンを移転させる可能性はさらに低い。

上海対外経済貿易大学日本経済研究センターの陳子雷センター長は取材に対して、「企業は実は自分たちの資金を使ってよりよいグローバル展開を行うことのほうにより関心がある。現在、企業の産業展開は、各社の国際情勢や各国の市場、グローバル市場、人的資源、法律制度、ビジネス環境、物流、コストなど各方面の考察に基づいて行われる。そのため私たちは、こうした国際化企業や多国籍企業が自身の能力によって現在の問題を解決でき、誰かが干渉する必要はないことを信じるべきだ」と述べた。

華東地域に進出した日系企業を例にすると、日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所の小栗道明所長はこのほど取材に対し、「華東地域にある日系企業710社に対する最新の調査によると、約90%の企業がサプライチェーンや拠点を変更する計画はないと答えた。変更があるとすれば、その多くは日本国内または中国国内での変更だ」と述べた。

経済活性化のためにせよ、産業チェーンの多様化・安定を追求するためにせよ、日本が大規模な企業回帰を奨励するのは短期的にみると現実的でない。日本政府はこうした企業の投資行動を直接左右する権力をもっておらず、中国にとどまるか、日本に戻るか、あるいは別の国に行くかどうかは、すべて企業がコストと収益の角度から考えて決めるからだ。

小栗氏は、「まず、日本政府がこうした政策を打ち出した背景には、今年の2-3月、中国国内での生産停止が日本国内の生産や供給に影響を与えたことがある。しかしその後、感染症は世界に拡大し、こうした背景や環境はすっかり変わってしまった」と指摘した。

実際、最も早く感染症の影響を受けた中国は、経済活動を最も早く回復させた国でもある。共同通信社の報道によると、トヨタの最近の販売量は大幅に減少したが、中国などでは回復の兆しがみえる。4月の中国での販売量は減少から増加に転じ、前年同期比で0.2%増加したという。

小栗氏は、「今は先に述べたような懸念はなくなったが、政府が国民の健康と暮らしに必要な生産ラインの回帰を検討することは理に適っている。客観的にみて、全ての企業が政府の呼びかけに応じるわけではない。企業にとって最も重要なのは市場であり、顧客がいるところに発展チャンスもあるからだ。こうした角度から考えて、中国市場の重要性に変わりはなく、さらに重要性を増したかもしれない」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年5月20日

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