スペインで昨年3月採取の廃水から新型コロナ検出 これは何を意味するか?

人民網日本語版 2020年06月28日16:22

スペインのバルセロナ大学は26日に公告を発表し、同大が率いる研究チームが昨年3月に採取したバルセロナ地域の廃水サンプルから新型コロナウイルスが検出されたことを明らかにした。誤りがなかったことが確認されれば、この結果は新型コロナウイルスの発生時期がこれまで報告されていたよりも早いことを意味することになるのではないだろうか?廃水の検査を通じて、新型コロナウイルスが伝播を開始した時期と潜伏・波及の範囲をより正確に理解できることになるのだろうか?新華社が伝えた。

同公告によると、同大の腸ウイルスチームの研究者が現地の廃水サンプルを検査した結果、昨年3月12日採取の廃水から新型コロナウイルスの痕跡が確認された。これ以前にも同チームの研究者が今年1月15日採取の廃水サンプルから新型コロナウイルスを検出しているが、スペインで最初の感染者が報告されたのは今年2月25日のことだった。

同チームを率いるアルベルト・ ボッシュ教授(生物学)は、「研究チームはその後、2018年と2019年の廃水サンプルを検査したが、現時点では2019年3月12日のサンプルのみPCR検査が陽性となっており、しかもそのウイルスのレベルは低く、他のサンプルの検査結果はすべて陰性だった。バルセロナは観光産業が発達しており、非常に多くの観光客が訪れる。今回の研究結果から世界の他の地域でも似たような状況が起きたが、多くの症例がインフルエンザと誤って診断され隠れてしまった可能性がある」と述べた。

感染時期を判断するのは時期尚早

人類が新型コロナウイルスを発見する前に、ウイルスは人々の間に広まっていたのだろうか。同大の研究結果は現在、査読の段階に入っているが、多くの専門家からこの結果が指し示す方向に疑問の声が上がっている。

スペイン公衆衛生・衛生管理学会のファン・ビジャルビ博士は、「この研究結果に基づいて新型コロナウイルスの大規模発生の時期を判断するのは時期尚早だ。研究結果は1つしかないため、より多くのデータ、研究、サンプルによって結果を実証しなくてはならず、実験でのミスや実験方法に存在する問題といった要素も排除しなければならない。また結果には偽陽性の可能性もある。ただこの研究が大いに示唆に富むものであることは否定しない」と述べた。

オランダの水循環研究所(KWR)の微生物専門家であるヘルティアン・メドマー氏は、「バルセロナ大研究チームは保管するサンプルを再検査し、新型コロナウイルスが確実に存在することを立証するよう提案する」と述べた。別の専門家は、「バルセロナ大の今回の研究サンプル作成で行われた濃縮処理は十分に規範に則っていない」との見方を示した。

総合的にみると、今回の研究では2回目の実験による実証は難しい。米紙「ニューヨーク・タイムズ」はボッシュ氏の話を引用して、「うちのチームで2019年3月の陽性のサンプルの再検査を行うことは難しい。1回目の検査で排水のサンプルすべてを消耗してしまったからだ。私たちはこのサンプルについて陽性であるという1点は証明できるが、再検査はできない。サンプルが汚染された可能性は低い。私たちの作業スタイル(を踏まえる)なら、汚染された時に、そのことに気づくはずだ」と伝えた。

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