北京卸売市場の感染源いまだ謎 コールドチェーンは信頼できるか

人民網日本語版 2020年06月23日14:01

北京市の新発地卸売市場で発生した新型コロナウイルス感染症の感染源が何かは、いまだに未解決の謎だ。

しかしコールドチェーンは発生当初から「容疑者」扱いされてきた。その後、疫学調査を重ねる中でわかったのは、新発地卸売市場の水産ホール、牛肉・羊肉ホールの環境サンプルは新型コロナウイルスの陽性判定が比較的多く、新型肺炎と診断された人の中では、水産部門の販売担当者が最も多く、そして発症が最も早かったことだ。この100万人の物流関係者の生活を支え、人々の食卓にたくさんの幸せを運ぶ産業は、本当にこのたびの感染症ぶり返しの元凶なのか、どのようなリスクが潜むのか、感染症が過ぎ去った後でどのような変化が訪れるだろうか。

1枚のまな板が引き起こした議論

56日間の平穏な日々の後、6月11日に北京で突然、新型コロナウイルス感染症の患者1人が報告された。翌12日には、新発地卸売市場の張玉璽会長がメディアに対し、「輸入サーモンをカットしたまな板から新型コロナウイルスが検出された」と述べた。

13日3時、北京市豊台区の関連当局が、「新発地卸売市場はしばらく閉鎖する」と発表。市民の間では「サーモンを食べると新型コロナウイルスに感染するのか」といった議論が盛んに行われている。

香港大学の新規発生感染症国家重点実験室の室長およびインフルエンザ研究センターのセンター長を務める管軼氏は取材に対し、「新発地の症例は、コールドチェーンか市場に出入りする人によって伝播されたという2つの可能性がある」と述べた。

管氏は、「新型コロナがコールチェーン経由で伝播するのは目新しいことではない」とした上で、「この可能性が最も高い。これまでにこうしたケースはたくさんある。欧米では屠畜場で新型コロナが猛威を振るい、米国の空母『セオドア・ルーズベルト』では抗体検査の結果、乗組員の60%が陽性だった。乗組員が数ヶ月間、上陸していない空母で感染が起きたことから、コールドチェーンが伝播経路になった可能性がある」という。

国家食品安全リスク評価センター微生物実験室の李鳳琴室長の見方では、「世界保健機関(WHO)が明らかにしているように、新型コロナウイルスは主に呼吸器、飛沫感染、濃厚な接触により感染し、シーフードを含むすべての食品では感染しないが、食品が汚染されている可能性はある」という。

中国疾病予防管理センターの感染症学首席専門家である呉尊友氏は、「研究者が普段採取するウイルスを含んだ生物サンプルは低温保存され、温度が低ければ低いほど、ウイルスの生存時間も長くなる。卸売市場のシーフードの多くは冷凍保存されており、こうした環境ではウイルスはより生存しやすくなり、人に感染する確率も高くなる」と述べた。

生存時間が最長でどれくらいになるかは、まだ定説がない。

北京交通大学経済管理学院の蘭洪傑教授は長年にわたりコールドチェーンによる物流の管理を研究してきた。蘭氏によると、「新発地でのこのたびの感染症発生には主に2つの可能性がある。ウイルスが汚染された物品を通じて新発地に持ち込まれた可能性、感染した人を経由して、特に症状がごく軽いか無症状の感染者を経由して新発地に持ち込まれた可能性が考えられる。しかし最終的な正確な結論を得ようと思ったら、より多くサンプルを採取し調査しなければならない」という。

人が関わる段階すべてで感染の可能性

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