今回、新型コロナウイルス感染者が確認されている北京新発地卸売市場の張玉璽会長は12日夜、関連当局がサンプリング検査を行ったところ、同市場の輸入サーモンを切るまな板から新型コロナウイルスが検出されたと発表した。中国青年網が伝えた。
これによりサーモンがたちまちやり玉にあがり、「サーモンで新型コロナに感染するのか」という話題が注目を集めている。
中華予防医学会健康発信分会常務委員で、科信食品・栄養情報交流センターの鍾凱センター長は13日、「サーモンが新型コロナを『所持』していたことと、コウモリが新型コロナを『所持』していることはまったくの別問題。サーモンが『所持』していたのは正確に言えばウイルスが付着したり、ウイルスに汚染されていたということになる。一方でコウモリが『所持』しているというのは、共生できる宿主ということになる」と説明した。
鍾氏によると、新型コロナの既知の宿主はほぼすべてが哺乳類で、サーモンの体内に新型コロナが含まれている可能性はほぼゼロだ。
ある微生物学博士も取材に対し、「新型コロナはアンジオテンシン変換酵素II、つまりACE2タンパク質により感染し、かつ主に人類やコウモリなどの哺乳類に感染する」と述べた。魚類にもこのタンパク質は豊富に含まれるが、現在の研究結果によると、魚類、鳥類、爬虫類は新型コロナと結合する能力が弱い。言い換えれば、サーモンを含む魚類が新型コロナに感染する確率は相対的に低いことになる。
この微生物学博士は、「関連当局のサンプリング検査の結果は、『輸入サーモンを切るまな板から新型コロナが検出された』というものだったが、サーモンそのものに問題があるとは限らない。サーモンのまな板などにウイルスが付着していたか、(感染ではなく)サーモンの表面にウイルスが付着していた可能性もある」とした。
◆サーモンは食べても大丈夫か?
鍾氏は、現時点では新型コロナが飲食により感染したとする証拠はなく、「主に接触による感染」と見ている。そして、「火を通したものであればもちろん問題はない。生で食べるならばリスクはやや大きい。なぜならウイルスが粘膜に接触する機会が増えるからだ」としている。
鍾氏によると、新型コロナの物体表面での生存時間は、数時間から数日とまちまちだ。冷凍サーモンは空輸され、かつ低温環境で保護されるため、理論的には「生き残った可能性がある」という。そのため、「その確率は高くはないが、いったん感染を引き起こせば対策コストが極めて大きくなることから、関連当局は近日中にこれらの商品の管理に乗り出す可能性がある」としている。
鍾氏は取材に対し、「個人がサーモンを生で食べて新型コロナに感染する確率は極めて低い」としたものの、公式の調査結果ではっきりするまでは生のサーモンやその他の輸入生鮮食品を控えるようアドバイスしている。
鍾氏は、「一般の消費者は主に外出時にマスクを着用し、帰宅してから手洗いをすることに注意を傾けるべき。料理をする際にも手洗いをし、汚れた手で目や鼻、口元などに極力触れないように注意すべき。警戒は高めるべきだが、疑心暗鬼になる必要はない」とした。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年6月15日