中国のドラマ「以家人之名」が大ヒットしている理由は?

人民網日本語版 2020年08月20日14:20

アラサー女子がテーマで大ヒットとなったドラマ「三十而已(Nothing But Thirty)」のバトンを、家族のあり方を描いた青春成長ドラマ「以家人之名(Go Ahead)」が受け取り、ドラマ市場で大きな話題を呼んでいる。女優の譚松韵(タン・ソンユン)や俳優の宋威龍(ソン・ウェイロン)、張新成(チャン・シンチェン)が出演する同ドラマは、湖南衛星テレビで大ヒット放送中だ。同ドラマは、譚松韵演じる李尖尖、宋威龍演じる凌霄、張新成演じる賀子秋の、血縁関係にない3人が偶然のきっかけで新しい「家族」となり、一緒に支え合いながら成長していく姿を描いている。愛によって「家族」の傷を癒す家族愛を描いた作品だ。人民網が各社の報道をまとめて報じた。

8月10日に放送が始まった「以家人之名」は、話題性、口コミの評判共に好調。繊細な感情が描かれているため、原家族や成長などさまざまな角度から議論が巻き起こり、「リアル」や「フレッシュ」、「心が和む」という声が寄せられるなど、好評を博している。

ホームドラマはお決まりのパターンにはまりやすく、視聴者に新鮮味を感じてもらうのが難しいジャンルでもある。これまで、ホームドラマというと、大きなトラブルや重大な時代の命題が売りだった。しかし、多くの人々の議論の的になる作品にするためには、社会問題に切り込む必要がある。ホームドラマ系のシチュエーション・コメディ、嫁と姑の問題、相続トラブル、なかなか結婚できない女性、子供の教育、そして昨年のドラマ「都挺好(ALL IS WELL)」がスポットを当てた原家族の問題など、これまで大ヒットしてきたホームドラマは、社会問題に焦点を当てていたため、話題性に事欠かなかった。「以家人之名」の口コミ評判が高い主な原因は、ホームドラマのお決まり路線から脱して、独自のスタイルを築いているからだ。

賀子秋は、片親家庭で7歳まで育ち、さらに7歳の時に母親が黙って出ていってしまう。その時、彼は捨てられたと感じ、劣等感を抱くようになり、安心感もなくしてしまう。そして子供らしくなくなり、大人のように他の人に気を遣い、人の顔色をいつもうかがっていた。その後、彼は李尖尖の父親である李海潮に引き取られ、洗濯や家事などの手伝いをするようになり、子供らしくない大人びた性格になっていく。李尖尖は子供の頃に母親を亡くしたものの、父親の良い教育と愛を受け、自信に満ちた明るい女の子へと成長していく。凌霄は子供の頃、自分のミスがきっかけで妹が死んでしまい、それが原因で母親も絶望に打ちひしがれてしまう。母親はその悲しみと怒りを凌霄と夫にぶつける。両親は毎日のように大ゲンカし、最終的に、母親は凌霄たちを捨てて家を出ていってしまう。崩壊した2つの家庭の子供2人が李海潮に引き取られ、血縁関係にない3人の子供が「兄弟」となり、さらに凌霄の父親も含めて5人家族となる。原家族を背景にした心理的問題が常に付きまとうものの、彼らは互いに関心を示すことを決して忘れず、互いに心の傷を癒し合う。それが、このドラマの魅力の一つだ。日本映画「万引家族」のような、血縁関係のない人が「家族」となり暮らすというスタイルも、中国のホームドラマとしては斬新だ。

同作品は、ストーリーが斬新であるほか、ネットユーザーの間では、適材適所のキャスティングも話題となっている。塗松岩(ツー・ソンエン)演じる李海潮と張晞臨(チャン・シーリン)演じる凌霄の父親という2人の父親にしても、日常のシーンでの3人兄弟にしても、どれもがはまり役となっている。

骨■影視(■は几の下に木)の統計によると、他のホームドラマが25-34歳の視聴者を中心としているのに対して、「以家人之名」の視聴者の中心は19-24歳となっている。丁梓光監督は、「ドラマの若者3人の背景、性格は全く異なっているものの、今の90後(1990年代生まれ)の若者のイメージや家庭の状況を鮮明に反映している。二世代、ひいては三世代の中国人の家族との関係が描かれている」と説明する。

「以家人之名」は「血縁関係」で「家族」を定めておらず、伝統的な倫理的意義における「家族の観念」を打破し、「家族」や「家庭」の概念を新しく定義している。家族は血縁関係だけで繋がっているのではなく、愛や絆によって結ばれるべきであるはずだ。この作品のストーリーが進み、登場人物が成長していくにつれて、視聴者は今あるものや家族を一層大切にするようになっていくだろう。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年8月20日

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