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黒竜江の人里に現れた東北虎、捕獲され「完達山1号」と命名

人民網日本語版 2021年04月28日15:00

1頭の東北虎が田園地帯を疾走し、前方にいた農家の女性に飛びかかった。これは4月23日に虎が村に現れた際、最も人々を驚かせた一コマだった。幸い、虎は引き続き飛びかかったり、かみついたり、口にくわえるといった狩猟行動を取ったりせず、さらに前方へと駆け抜けていった。

この東北虎は同日朝6-7時頃、人里にいるところを村民に発見された。警察が駆けつけたところ、誰も住んでいない空き家のすき間に腹ばいになって寝そべっていた。虎が本当に村に現れたということで、その場は騒然となった。

それから約3時間に及ぶ膠着状態の末、虎は村民1人と自動車1台に飛びかかり、村民は負傷し、車は窓ガラスが1枚割れた。虎は人に飛びかかった後、その毛色に似た草むらと畑の間に入り込み、捕獲作業は難航した。

午後6時頃になり、麻酔針が2本命中すると、虎は6時間近く立てこもっていた草むらから飛び出し、さらに2本の麻酔針を打ち込まれ、最後にもう1本打ち込まれたのち、9時頃になってようやく捕獲された。

この間、メディア数社が現場で様子を伝え、捕獲の動きがネットでライブ配信されて、全国の視聴者が捕獲の様子をリアルタイムで見守り、一時はのべ1千万人以上が視聴していたという。

この虎は体重225キログラム、2-3歳のオスの野生の虎で、黒竜江省林業・草原局は26日の記者会見で、「完達山1号」と命名したと発表した。

するとネットユーザーから、「どうして完達山で泰山ではないのか?」といった声が次々に寄せられた。

中国猫科動物飼育繁殖センターの劉丹チーフエンジニアは、「この野生の東北虎は非常に強健かつ獰猛だ。虎は山林の王であり、山の大王とも呼ばれている。虎の習性を見ると山に君臨しており、王者の風格がある。この東北虎が発見された地域は完達山エリアに属している。完達山は黒竜江省の東北虎の生息地でもあり、現在は野生の群れに4-6頭の東北虎がいる。こうした状況を踏まえ、国家林業局に報告し、承認を得て最終的に名前を『完達山1号』とした」と説明した。

記者会見ではこの虎のここ3日間の様子も公開された。まず24日に自分から獣舎に入り、25日の夜から餌を食べ始め、26日朝には排便があった。現在は同省にある中国横道河子猫科動物繁殖センターに送られ、隔離観察が行なわれているという。

野生の東北虎が人間の視界に入る場所へとやって来るケースが、ここ数年時々発生しているが、人里に直接やって来て、道で人に飛びかかるというのは、世界自然保護連合(IUCN)の絶命危惧種レッドリストに入る野生の東北虎としては非常に珍しいケースだ。2019年の虎・豹類越境保護国際シンポジウムでのデータによると、中国に生息する野生の虎は50頭に満たず、そのうち東北虎はわずか27頭ほどだという。

中国で初めて保護することに成功した野生の東北虎として、「完達山1号」がどこからやって来たのか、これから調査することになる。「完達山1号」は今後どうなるのか、大きな注目が集まっている。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年4月28日

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