東京五輪のバドミントン男子シングルスで激しい戦いを経て決勝の舞台に立ったのは、昔からのライバルである中国の諶龍選手とデンマークのビクトル・アクセルセン選手だった。
完勝したアクセルセン選手は感動の涙を流し、子供のように泣いた。勝利を喜び、席に戻って身の回りの品を整理している時になってもまだ、涙は止まらなかった。

コーチと抱き合い号泣するアクセルセン選手
試合後、アクセルセン選手がユニフォームの交換を提案すると、諶選手も承諾した。ライバル同士、敬意を表した形だ。

ユニフォームの交換をするアクセルセン選手と諶選手
2対0で決勝に勝利したことで、アクセルセン選手は壮挙を達成した。東京五輪で優勝する過程で、1試合も落とさなかったのだ。

金メダルを見つめるアクセルセン選手
アクセルセン選手は中国の諶選手を破って金メダルを獲得したが、それでもなお多くの中国のバドミントンファンから祝福を受けた。苦労して中国語を勉強し、中国文化を積極的に学んだことから、アクセルセン選手はずっと中国のバドミントンファンから「身内」のように思われてきた。
中国語を話す若者
今回アクセルセン選手はオリンピックで初めて金メダルを獲得した。五輪男子シングルスでのアジア系選手以外の優勝はデンマークのポールエリク・ホイヤーラーセンに続き2人目だ。金メダル獲得後、中国の多くのネットユーザーが祝意を表した。アクセルセン選手が中国で最も人気のある外国人バドミントン選手の1人であることは間違いないだろう。

中国語を学ぶアクセルセン選手
ビクトル・アクセルセン選手の中国語名「安賽龍」は自分でつけたものだ。「安」は本名の名字に近い音を選んだもの、「賽龍」は強者に勝利する願いを込めたものだ。アクセルセン選手は2014年に中国語に興味を持ち始めて以来、ずっと勉強を続けてきた。今では流暢な中国語で会話できるおかげで、中国語を話す各国のバドミントン選手と良い友情を結んでいる。

新型コロナウイルスの感染拡大期間に、武漢を励ますメッセージを寄せるアクセルセン選手
「憧れの存在」の力
今回の決勝によって、アクセルセン選手はある記録を打ち立てた。アジア系以外の選手として初めて、五輪男子シングルスで2個のメダルを獲得したのだ。奇しくも、前回の五輪メダルも、中国の選手から勝ち取ったものだった。2016年のリオ五輪でアクセルセン選手は林丹と銅メダルを争い、2対1で勝利した。今回諶選手を破って金メダルを獲得したことに、アクセルセン選手は深く感動した。「前回のオリンピックでの銅メダルは私にとって大切な学びの経験となり、今回のオリンピックへの切望も募った。このハイレベルな試合に勝利するには努力と共に運も必要。これまで私は諶選手と何度も対戦してきた。彼は私を励ましてくれる存在でもある」とアクセルセン選手は言う。

アクセルセン選手にとって林丹は「憧れの存在」
リオ五輪の時にも、アクセルセン選手は同様の話をした。当時アクセルセン選手は、「私は子供の頃から林丹の試合を見てきた。彼は私の憧れの存在であり、尊敬している」と語っていた。
アクセルセン選手の崇拝する中国のバドミントン選手たちは年を重ねるに従い、現役人生の終盤に入っていった。だがアクセルセン選手の尊敬の念が変わることはなかった。
昨年7月に林丹が正式に引退を表明すると、アクセルセン選手はSNS上で「憧れの存在」の林丹に成長させてもらったことへの感謝の気持ちを綴った。

そして今、27歳のアクセルセン選手もオリンピック優勝の夢をついにかなえた。アクセルセン選手は今、「早くデンマークに帰り、家族や友人と喜びを分かち合いたい」という。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年8月3日
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