長江源流域、1万3000年近くの気候変動の記録が再構築

人民網日本語版 2021年06月11日09:57

中国科学院青蔵高原(チベット高原)研究所が8日に明らかにしたところによると、同研究所の研究者はチベット高原中部唐古拉山区赤布張錯湖の湖底堆積物コアの複数の指標・データに基づき、長江源流域の過去1万3000年近くにわたる古代気候変動の記録を再構築した。研究によると、同源流域は気温が低く乾燥していたが、その後暖かくなり湿度が上がり、そこからさらに涼しくなり乾燥するようになった。現在は暖かく湿度が上がる流れを示している。関連研究成果は国際的な地質学誌「古地理学、古気候学、古生態学」に掲載された。科技日報が伝えた。

チベット高原を主体とする第3極は現在、世界で温暖化が最も激しい地域であり、今後世界的な気候変動の影響に最も敏感になる地域の一つでもある。偏西風と南アジアの季節風は、チベット高原の気候と環境変化を左右する決定的な要素だ。長江源流域は現代の南アジア季節風の北の縁に位置し、偏西風と季節風の影響を同時に受ける移行地帯、内流区・外流区の境界地帯になっている。同研究所の朱立平研究員は、「同源流域にはこれまで、1万年以上にわたる連続的な環境変化の記録がなかった」と述べた。

そこで研究者は同地域の赤布張錯湖の湖底コアの粒度や元素など複数の指標を分析し、南アジアの季節風と中緯度の偏西風の間の移行地帯における最終氷期以降の古代気候変動の特徴及び環流の効果を評価した。その結果によると、長江源流域の最終氷期後期以降の気候変動は次の4段階に分かれる。(1)1万2700年前から1万600年前の最終氷期は相対的に寒かった。(2)1万600年前から6600年前の完新世早期は比較的暖かく湿度が高かった。(3)6600年前から1900年前の完新世中期・後期はやや涼しく乾燥していた。(4)過去2000年は暖かく湿度が上がる流れで、特に過去500年が最も顕著だ。

朱氏は「長江源流域の過去1万年以上にわたる有効湿度は、全体的に南アジアの季節風エリアの変化モデルに従っていた。つまり完新世早期は有効湿度が最も高く、中期に徐々に低下し、後期に乾燥していた。同地域の現在の気候・水文学的条件は暖かくやや湿った状態にあり、完新世早期の後期に近い可能性がある。この研究は長江源流域の水資源変化の今後の流れを評価するのに役立ち、三江源流域の生態環境の評価及び関連研究に科学的な参考を提供している」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2021年6月11日

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