2021年4月26日、防疫物資と電子設備を積み込んだ中欧班列が、成都国際鉄路港を出発し、英国のフェリックス駅へ向かった。(撮影・白桂斌、写真提供は人民図片)
6月2日、医療物資やトレーニング機器などの貨物を満載した国際定期貨物列車(中欧班列)が、山西省の中鼎物流パークを出発して、一路フランス・パリへ向かった。同省からフランスに直行する中欧班列が運行するのはこれが初めてとなる。
中国の税関総署がまとめたデータによると、今年第1四半期(1-3月)には、中欧班列が1941本運行し、輸送した貨物は17万4千TEU(20フィート標準コンテナ換算)に達し、前年同期に比べて本数は15%、貨物は18%、それぞれ増加した。5月末現在、中欧班列の累計運行本数は3万8千本、輸送貨物は340万TEUに達し、欧州22ヶ国の151都市に運行している。
10年前、中欧班列の第1便「渝新欧号」が重慶市の重慶団結村中心駅を出発し、遙か彼方のドイツ・デュイスブルクに向かった。これにより中欧班列は国際鉄道輸送の歴史に新たなページを刻み、中国・欧州貿易が新たに輝くチャンスをつかむためのサポートを提供するようになった。
2013年に中国が「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブを打ち出すと、中欧班列の発展は急成長の段階に入った。成都、鄭州、義烏、西安、烏魯木斉(ウルムチ)……ますます多くの都市で中欧班列が相次ぎ運行を開始した。この10年間で、中欧班列は無から有への転換を達成し、スタート期から加速期に入り、沿線諸国の相互接続と協力・ウィンウィンをサポートした。
他の貨物輸送手段に比べて、中欧班列には安全でスピーディ、グリーンで環境保護、自然環境の影響が少ないといった総合的な優位性があり、今や国際物流における陸上輸送の主要方式の1つになった。輸送品目は非常に多く、衣類、日用品、電子製品、機械設備、化学工業製品、木材・パルプ、冷凍食品、医療機器など、生産と生活に関わる数多くの製品が含まれる。
上汽フィアット紅岩動力総成有限公司は中国とイタリアの合弁企業で、ディーゼルエンジンと関連部品を主に製造し、中欧班列を通じて製品を欧州に輸出する。同社のフェデリコ・ガヤッジ社長は、「思いもよらなかったのは、昨年は新型コロナウイルス感染症の状況があれほど深刻だったにも関わらず、当社が2007年以来で最も好調な業績を上げたことだ。中欧班列は海上輸送よりも所要時間を10数日間短縮することができ、当社により多くの利益をもたらした」と述べた。
英紙「フィナンシャル・タイムズ」の報道によると、感染症の期間中に、欧州市場では中国製品に対するニーズが旺盛だったが、海上輸送はしばしば遅延する上に輸送費も値上がりを続けたため、輸出企業の多くが安全で安定したスムーズな中欧班列に切り替える動きが加速した。
感染症の期間中には、中欧班列がもつ協力・ウィンウィン、互恵の特徴がさらに顕在化し、国際社会で不足する防疫物資や生産・生活の必需品が中国から欧州諸国へ途切れることなく輸送され、海外の質の高い製品が中国へ大量に運ばれた。
中国は「世界の工場」であるだけでなく、4億人の中産階級を擁する「世界の市場」でもある。河南省鄭州市にある中欧班列(鄭州)オフライン商業施設には、大勢の消費者が輸入商品を買いに来るようになり、ドイツの牛乳、ベルギーのチョコレート、フランスの赤ワインなどは人気が高い。一部の都市の通りには、中欧班列に乗って輸入された高級車が走る。
感染症はまだ世界中に蔓延しているが、「鋼鉄のキャラバン」と呼ばれる中欧班列は引き続き秩序よく運行し、互いに見守り助け合う人類の運命共同体の理念を伝え、沿線諸国の企業活動・生産活動の再開や経済の迅速な再開を推進し、グローバルサプライチェーンの安定に力強い原動力を提供し、グローバル経済の回復と発展に新たなチャンスをもたらした。(編集KS)