張小泉の夏乾良社長は、「モノの研究からヒトの研究に移った。『95後』の姿からヒントを得て、異論を排除してとにかく試してみると決めた。菜切り包丁の『たたき切ることも普通に切ることもできる』をコンセプトに、いろんな切り方ができる『キッチンばさみ』を売り出すと大人気商品になった」と振り返った。
ネットで人気の黒ごま団子から化粧品まで、ネットユーザーは喜んで購入している。商品を販売する杭州胡慶余堂集団有限公司の劉俊明社長は、「老舗はもはや『高齢者』や『古くさい』とイコールではなくなり、現代の若者が暮らしの質向上を追い求め消費のレベルアップをはかるためのものになった」ことをはっきり感じるという。
5月24日、天猫「618」プレセールが始まってから1時間で、上海家化連合股份有限公司傘下のスキンケア製品ブランド「玉沢」が初めて人気商品トップ10に入った。6月1日未明にイベントが始まると、わずか1時間で昨年の1日分の売上を達成した。またプレセールから現在までの間に、かつて旅客列車で人気があったチキン料理の「徳州扒鶏」が売り出した新ブランド「魯小吉」は、スパイシーな醤油味ベースの商品4種類が一気に売上を伸ばした。ネットユーザーからは、「老舗で最も成功した新ブランド」と賞賛する声が上がった。
ショッピングカートには国産品がいっぱい 若者はなぜ「国潮」が好きなのか
天猫のデータによれば、国産品は今では「90後」、「95後」、「00後(2000年代生まれ)」が消費をするときに真っ先に選ぶものになった。過去1年間に天猫では、「00後」の国産品消費の増加率が最も高く、50%を超えた。現在の若者たちはなぜ、これほど「国潮」を好むのだろうか。
あるネットユーザーは、「国産品の品質はもう海外のビッグブランドに負けていない。デザインもブランド力も海外ブランドに十分太刀打ちできる。新しい国産消費財ブランドは、品質と価格の間で絶妙なバランスを取ることが非常に上手で、若者の心の中にある素晴らしい生活への憧れの一部分を十分に満たすようになった」との見方を示した。
天猫の「国潮」事業責任者の錦雀さんは、「中国人の消費力向上、消費への自信と文化的自信の高まり、産業チェーン・サプライチェーンのさらなる成熟、インターネット環境が整った商業インフラ、国際的視野を持った人材が次世代の起業家になったことなどが、すべて新しい国産品ブランドの爆発的発展のための着実な基礎固めをした」と述べた。
業界では、国産品ブランドが飛躍する舞台の幕は開いたばかりとの見方が広がる。国産品ブランドは「95後」の間で根付き始めたところで、これから徐々に拡大し、やがて「90後」、「80後」、「70後(1970年代生まれ)」の消費観にもゆっくり影響を与えるだろうという。
1つのブランドがネットの一時的な人気者から末永い人気者になれるかどうかは、アクセス量が示す導入の部分を見るだけでなく、人気商品を作り出す能力があるかどうかを見なければならない。錦さんは、「過去10年間は中国の従来の商業、ブランド、業者がインターネットを全面的に取り入れる10年間だった。これからの10年間は、中国ブランドと国産品が生まれ変わる『黄金の10年間』になると確信する」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年6月17日