中国は国土が広く、南北で熱帯、温帯、寒帯に分かれる。異なる地域の建築数の持続的な増加、居住の快適性の向上に伴い、工業や交通のエネルギー消費量よりも建築のエネルギー消費量が持続的に増加する傾向を見せている。科技日報が伝えた。
住宅・都市農村建設部(省)標準定額司の関係責任者はこのほど、「建築の省エネは、炭素排出削減への貢献が非常に際立つ」と指摘した。
都市農村建設分野の直接的な炭素排出には、主に建築物内の暖房、調理、給湯などの化石エネルギー使用によるものが含まれる。
国務院が2016年に発表した「『第13次5カ年計画(2016~20年)』省エネ・排出削減総合活動案」は、「超省エネ及びほぼゼロエネ建築の試行を展開する」と打ち出した。今年3月の「『第14次五カ年計画(2021~25年)』計画と2035年までの長期目標綱要」は、ほぼゼロエネ建築、ほぼゼロ炭素排出などの重要プロジェクトのモデル事業を展開するとした。
中国建築科学研究院のチーフエンジニアの徐偉氏によると、ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)とは通常エネルギーを消耗せず、完全に太陽光またはその他の再生可能エネルギーでエネルギーを供給する建築を指す。建築のゼロエネの目標に向かうなか、そのエネルギー消費目標の達成の難易度により、超省エネ建築、ほぼゼロエネ建築、ゼロエネ建築の3つに分かれる。あるいは建築の省エネの道は今後迎える3つの発展段階だと言える。
専門家は、一般的な省エネ建築と比べ、パッシブデザイン及びアクティブエネルギーデザインの超省エネ建築は、建築物の使用中のエネルギー消費量を減らし、間接的に汚染物と温室効果ガスの排出を削減することになり、二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトとカーボンニュートラルの目標達成に対して重要な意義を持つと指摘した。こうしてみると、将来的に超省エネ建築が主流建築になりそうだ。
住宅・都市農村建設部の関係責任者は、「中国は30年近くにわたる持続的な模索と努力により、比較的に体系的な省エネ技術体制と基準体制を形成した。超省エネ建築は気候の特徴と場所の条件に適応することで、自然な換気、自然の日当たり、囲み構造空間の保温・断熱などの技術措置を十分に利用できる。高効率エネルギー設備を採用し、最大限に建築の暖房、空調、照明によるエネルギー消費を抑える。超省エネ建築をもとに、再生可能エネルギー建築の応用などの技術措置を加えることで、ほぼゼロエネの、ゼロ炭素の建築を実現できる」と述べた。
中国建築科学研究院の張時聡研究員によると、中国の第13次五カ年計画計画期間の超省エネ建築特定財政奨励金は10億元(1元は約17.1円)超で、試行とテスト事業から大規模普及への推進に対して重要な誘導的役割を果たした。建設中及び建設済みの超省エネとほぼゼロエネの建築プロジェクトの面積は1000万平方メートル超で、産業規模100億元の拡大をけん引した。建築省エネ産業の高品質、大規模、持続可能な発展をけん引する。超省エネ建築の大規模な普及推進は、中国の「2030年にCO2排出量ピークアウト、2060年にカーボンニュートラル」に対して重要な下支えの効果を持つ。川上・川下の製品・部品の産業化が、新たに5−10兆元のGDPをもたらすと予測されている。超省エネ・ほぼゼロエネ建築技術体制には重要な普及の価値と産業化の見通しがあり、さらなる研究開発とイノベーションによりゼロ炭素・ゼロエネに向かわせる必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年6月23日