独ケムニッツ工科大学及び中国長春応用化学研究所の科学者は「Advanced Energy Materials」誌に掲載された論文の中で、現時点で世界最小の電池を研究・製造し、塵一粒ほどの大きさのコンピュータに給電でき、将来的にモノのインターネット(IoT)、超小型医療用インプラント、超小型ロボットシステム、超フレキシブル電子デバイスなどの分野で活躍する見込みだとした。科技日報が伝えた。
科学者によると、適したバッテリーもしくは「採集」発電方法の開発により、準ミリメートル級の超小型コンピュータに給電できる。しかし現在の超小型電池の生産方法は一般的な電池と大きく異なる。例えば高エネルギー密度を持つコンパクトな電池(ボタン形電池など)が湿式化学法によって作られる。この標準技術で生産される超小型電池は良好なエネルギー・出力密度を提供できるが、その直径は1平方ミリメートルを明らかに上回る。
研究チームの目標は、直径が1平方ミリメートル未満で、半導体などに集積できる電池を設計することだ。その最小エネルギー密度は1平方ミリメートル当たり100μWhに維持される。この目標を達成するため、同チームはミクロ規模に集電装置とストリップ電極を集積した。テスラも類似する製法を大規模に使用し電気自動車用バッテリーを製造している。
研究者はいわゆる「スイスロール」もしくは「超小型折り紙」と呼ばれる製法を使用した。彼らはウェハーの表面に連続的にポリマー、金属、誘電体の膜をコーティングし、内在的張力を持つ分層システムを形成した。この膜が剥がれると機械的張力を生み、それから自動的に巻き戻り「スイスロール」になる。そのため外部の力がなくても、自ら円筒状になる超小型電池を製造できる。
この方法を利用することで、チームは繰り返し充電できる現在まで最小の超小型電池を製造した。塩1粒よりも小さく、世界最小のコンピューターチップに約10時間給電できる。さらに、この方法は既存の半導体製造技術と互換性を持ち、ウェハーの表面で高スループット超小型電池を生産できる。
研究者によると、この超小型電池はIoT、超小型医療用インプラントなどの分野で大活躍し、将来のマイクロナノ電子センサー及びアクチュエータに応用される見込みだ。この技術にはまだ大きな最適化の余地が残されており、将来的により優れた超小型電池が現れる可能性がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月24日