中国でここ数日、新型コロナウイルス感染症の新規国内症例が急増している中、感染者数に比べ、無症状感染者の数がかなり多いことに気づいているネットユーザーも多いだろう。例えば、3月28日の0時から24時にかけて、上海市の新規国内症例のうち、感染者が96人だったのに対して、無症状感染者は4381人だった。
この点について、中国工程院の院士・張伯礼氏は、「無症状感染者が多く、その割合が高いというのが、今回の感染拡大の大きな特徴」とし、「これはウイルスの特徴以外に、早期のスクリーニング、感染発見、さらにワクチン接種と密接な関係がある」と説明した。
資料写真(新華社、撮影・趙子碩)。
無症状感染者が多い3つの原因
まずオミクロン株の特徴と関係がある。張氏は、「新型コロナウイルスの変異株は感染力が強く、それに伴って、毒性は弱まっている。ウイルスの毒性が弱まっていることは、症状が軽いという臨床症状になって現れる。多くの感染者は感染してからすぐには臨床症状が出ない」と説明する。
他の国のオミクロン株とデルタ株の致死率を分析すると、オミクロン株が流行している期間の致死率は下がっている。つまり、オミクロン株の致死率はその他の変異株より低いということだ。
しかし、張氏は、「無症状感染者も油断は禁物。まず、無症状であっても、感染力はあり、不顕性が強い。また今日は無症状でも、明日は症状が出るかもしれない」と注意を喚起する。
そして、「一般の無症状感染者を重点的に隔離観察し、中成薬(中医薬製剤)を使って早期に対処し、症状が出ないように、特に普通型の感染者に転じないよう抑制することが必要だ。また、そうすることで1日も早く陰性に転ずるようにすることができる」との見方を示す。
また、無症状感染者が多いのは、早期にスクリーニングを行い、発見していることとも関係がある。「各地は感染者を発見してすぐに広範囲でスクリーニングを行っている。早期に発見しているため、多くの患者は感染したばかりで、症状が出ていない」と説明する。
もう一つの主な原因は、中国の住民のほとんどがワクチンを接種していることと関係がある。張氏は、「人々の免疫力が全体として高まっているため、無症状感染者が多くなる」と説明する。
無症状感染者にも感染力?予防の仕方は?
張氏は、「今回の感染拡大の初期において、無症状感染者の感染確認後、その周辺の濃厚接触者が次々にPCR検査で陽性になるというケースがあった」とし、吉林省での大規模感染について、「無症状感染者が、知らないうちにウイルスを伝播し、発見した時にはすでにたくさんの人が感染していた」と説明する。
無症状感染者の体内にはウイルスの核酸があり、ウイルス量もある程度あるため、感染力がある。その点、張氏は、「できるだけスピーディーに、積極的疫学調査を行わなければならない。スピードがカギとなる。早期発見して隔離しなければならない」と指摘する。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年3月29日