5月11日は世界保健機関(WHO)が定める「世界肥満予防デー」。実際、肥満は世界を悩ます難題となっており、WHOも「肥満」を10大慢性疾患の一つに掲げている。
国際体重コントロール学会の副会長を務める上海体育学院の陳文鶴教授は、「中国国内では、肥満が原因の各種疾患が年々増加しているほか、若年化の傾向にもあるため、肥満の予防と抑制が急務」と指摘する。
中国人の2人に1人が「肥満」
今の生活はリズムが速いほか、栄養過多や食習慣の問題などが原因となり、中国人の2人に1人が「肥満」になっている。青少年を見ても、小太りの割合が高くなる一方となっている。さらに、新型コロナウイルス感染拡大期間中において、外出が制限されているほか、将来に対する不安なども肥満につながっている。
新型コロナウイルス感染拡大で厳しい外出制限が続く上海市の徐匯区竜華鎮に住む女性・朱さんは、「息子の貝貝の勉強の成績は心配じゃないけど、どんどん大きくなるお腹を見ると心配になる」とし、夫と二人で「私たちの地域は物資が十分に供給され、冷蔵庫にも十分な備蓄がある。息子は食欲旺盛で、外に出て運動することもできないので、体重が2ヶ月で約10キロ増え、まるまると太った」とため息をもらしているという。
「中国住民食事ガイド(2022)」によると、過体重・肥満や慢性疾患の問題が日に日に深刻化している。現在、中国の成人の過体重・肥満率は過半数の50.7%で、6歳未満と6‐17歳の児童・青少年の過体重・肥満率は10.4%と19.0%に達している。また18歳以上の過体重率、肥満率は34.3%と16.4%だ。
どれくらい太っていると、過体重、または肥満と見なされるのだろうか?その基準は何なのだろうか?世界的に肥満の判定に使われている最も簡単な基準はボディマス指数(BMI)だ。BMIの計算式は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)。WHOは、BMIが25以上で過体重、30以上で肥満と定義している。身長180センチ、体重90キロの貝貝くんを例にすると、BMIは27.78で過体重ではあるものの、肥満の域には達していない。
科学的なダイエットとは?
中国では最近、台湾地区の芸能人・劉畊宏(ウィール・リュウ)のライブ配信を見ながら、自宅にいながら周傑倫(ジェイ・チョウ)のラップ「本草綱目」をBGMにエクササイズダンスをするというのが、多くの人の間で大人気となっている。微信(WeChat)のモーメンツを開くと、「劉畊宏ガールズ」、「劉畊宏ボーイズ」といったワードをたくさん目にすることができる。ただ、そのエクササイズダンスが大流行すると、多くの人ネットユーザーから、「ダンスをしていたら、ねん挫した」や「けがをして病院に行った」など、ちょっと恥ずかしい経験の投稿も寄せられるようになっている。それらはダイエットは順を追って一歩一歩進めていかなければならず、盲目的に突っ走ったり、一気に体重を落とそうとしたりすると逆に健康を損ねてしまうという教訓になっている。
一部の団体・機関などが注目を集めるためにうたっている「ダイエットの秘訣」は、完全に非科学的で、「節食ダイエット」や「飢餓療法」などは健康を損なう。陳教授は、「確かにダイエットのためには飲食を抑制する必要がある。しかし、食べるのが少なければ少ないほどいいというわけではなく、飲食の構造を調整、最適化しなければならない。一番大切なのは『低糖』と『低脂肪』の『2低』、『高タンパク質』と『高食物繊維』の『2高』と、全体量の抑制だ。1日3食を変えてはならず、毎回腹七分を心がけるとよい」とアドバイスする。
また、「ダイエットの最も効果的な方法は、早歩きやジョギング、水泳といった中から低程度の有酸素運動をすること。あるダイエット専門機関の閉鎖式キャンプを例にすると、28日を周期に、専門のトレーナーが一人ひとりの状況に合わせて運動の計画を作り、参加者は毎日、その計画に基づいて規則正しく運動したり、健康的な飲食をしたりする。すると、28日の間に、ほとんどの男性の体重が平均で10%落ち、ほとんどの女性は9%落ちる。つまり、科学的、合理的、かつ実行可能で、個人の特徴に合ったエクササイズが、安全で効果のあるダイエットの基礎であるということだ」と説明している。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年5月11日