蠕動で前進可能な高精度「スマート線虫」が誕生

人民網日本語版 2022年06月01日15:15

31日に行われた北京智源大会2022の開幕式で、北京智源人工知能研究院が天演チームによる最新の科学研究成果を発表した。これは現時点で生物学的な精度が最高の、線虫の全302個の神経細胞及び接続関係を模倣したスマート線虫「天宝1.0(MetaWorm)」のことだ。同成果は「知的生命体に向けて鍵となる一歩を踏み出した」として注目されている。科技日報が伝えた。

無毒・無害で独立し生存できる最小のモデル動物としての線虫は、構造がシンプルだが機能が揃っている。体長はわずか約1ミリメートルで、神経細胞は302個しかないが、感知、逃走、捕食、交配など一連のユニバーサルな知的行動を行える。線虫は最もシンプルな知的生命体であり、生物神経機構の模倣によりユニバーサルな人工知能を実現するための最小の実行主体でもある。

高精度線虫模型は現在、すでに神経系統と筋肉動力学を結合させるキーテクノロジーのブレイクスルーを実現している。北京智源人工知能研究院生物模倣研究センターの責任者である馬雷氏によると、線虫の神経の電気力学的信号を計算し、これを筋肉モデル経由で前面の環境と相互作用する部分に絶えず伝え、そして線虫の筋肉と水流環境の相互作用により蠕動運動を実現できる。

馬氏は、「現在は線虫に類似した、利益(食べ物)に向かい害(毒)を避ける能力を初期的に示しているだけだ。次の段階では徐々にカーブ、障害物回避、捕食などの複雑な知的行動を実現する」と述べた。

北京智源人工智能研究院の黄鉄軍院長によると、高精度スマート線虫の誕生は、生命の知能が踏み出した一歩目に過ぎないかもしれないが、計算による知的生命体の誕生を示している。天演チームは将来的に複数の神経系統規模の生命デジタルツインの実現に取り組む。ショウジョウバエからゼブラフィッシュ、マウス、最終的には最高知能を持つ人類の脳へと、モデル動物の神経系統の進化ルートに沿って進むことで、生命模倣の規模をますます大きくするという。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年6月1日

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