未成長の黄色矮星の説明図(画像提供は中国科学院国家天文台)
国家天文台の科学研究チームはLAMOST(郭守敬望遠鏡)の中分解能撮像分光放射計により、一度にリチウム含有量が極めて豊富な未成長の9個の恒星(矮星)を発見した。うち1個の矮星のリチウム含有量が太陽の31倍にのぼり、矮星のリチウム含有量の記録を更新した。この巨星に成長していない段階のリチウム含有量が極めて豊富な矮星は非常に稀で、天文学者はこれまで4個しか発見していなかった。
研究成果はこのほど、国際的な学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。これはリチウム含有量が極めて豊富な矮星のリチウムの起源と成長メカニズムなどを解明する上で重要な科学的意義を持つ。
リチウム元素はビッグバン、星間物質、恒星を結ぶ鍵となるものであり、宇宙と恒星の成長における天文学分野の重要課題だ。しかし現代の天文学のリチウムへの理解はまだ大きく限られている。これまで天文学者はごく少数の成長した恒星にリチウム含有量が異常に高い現象を発見した。
だがこの9個の不思議な矮星は、巨星のみならずごく少数の未成長の矮星にもリチウム含有量が異常に多い現象があることを示した。この9つの矮星のリチウム含有量は、いずれも太陽の少なくとも3倍以上だ。観測された証拠によると、大半のリチウム含有量が極めて豊富な矮星にとって、周囲のリチウムを豊富に含む物質の降着が、そのリチウム含有量が異常に多いことの主なメカニズムだが、少数の連星の相互作用の結果も否定できないことが分かった。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月8日