山東省済南市明水国家経済開発区中核エリアの事務所内に座っている黄燦輝氏(24)は、左手でキーボードを叩き右手でマウスを動かし、目の前の2台のディスプレイをじっと見つめながら操作していた。科技日報が伝えた。
人的資源・社会保障部(省)の国家職業分類目録の中で、黄氏の職業は「人工知能(AI)トレーナー」と認定されている。黄氏が所属するのは百度スマートクラウド(山東)人工知能基礎データ産業拠点だ。これは百度が全国に展開する2ヶ所目で、山東省初のデータマークアップ拠点だ。
黄氏のようなAIトレーナーは同拠点内で現在1500人を超えている。
AIトレーナーとは何か。「人工知能トレーナー国家職業技能標準(2021年版)」には、「スマートトレーニングソフトウェアを使い、人工知能製品の実際の使用においてデータ管理、アルゴリズムパラメータ設定、マンマシンインタラクションデザイン、性能テスト・追跡、その他の補助作業を行う人」と記されている。
データはAIの「燃料」であるのに対し、データマークアップはAIトレーナーの重要な仕事の一つであり、「AIの先生」と呼ばれている。上述した拠点の関係責任者である李志偉氏は、「わかりやすく言えば、データマークアップはデータにラベルを貼り付け、AIロボットがデータを識別しやすく、読み取りやすくする。それによってロボットはアルゴリズムに基づき判断し、人間により良いサービスを提供する」と述べた。
中国工程院の鄔賀銓院士はこの職業について、「例えばAIトレーナーはスマート運転の訓練を行う。スマート運転では、自動車に道路を識別させる必要があるが、動画をただコンピューターに伝えるだけでは識別されない。人の手により動画の道路に印をつけてからコンピューターに渡す必要がある。コンピューターは何度もこのような情報を受けると、徐々に動画と画像の中から道路を識別できるようになる」と説明した。
李氏は、「自動運転の実現は容易ではない。データの多くが断片的で構造化されておらず、整理しマークアップをすることで初めて価値を発揮できるからだ」と述べた。これには膨大なデータを集めるチームが必要だ。彼らは全国各地の道路状況情報を速やかに伝送する必要がある。このほか、専門的なデータ加工・処理チームを作らなければならない。
これらはまさに上述した拠点の強みだ。
昨年6月に百度スマートクラウドが明水開発区と百度山東データマークアップ拠点を共同設立する契約を交わした日から計算すると、同拠点の運営からちょうど1年を過ぎたところだ。データによると、今年4月までの累計生産高は3700万元(1元は約20.6円)以上で、データマークアップ担当者を1500人以上育成している。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月15日