高等教育評価専門機関・軟科(Shanghai Ranking Consultancy)がこのほど、2022年度版の「世界大学学術ランキング(ARWU)」を発表した。自然科学、エンジニアリング、ライフサイエンス、医学、社会科学の5大カテゴリーの54学科をカバーしている。96ヶ国・地域の大学約1800校がランク入りし、中国大陸部の大学が14学科でトップとなった。トップの学科は全てエンジニアリングの分野だった。このような結果に、「エンジニアボーナス」という言葉を連想する人も少なくないだろう。中国経済網が報じた。
エンジニアボーナスとは、先端製造やテクノロジー業界の発展に適応した新型人口ボーナスのことだ。ここ十数年、中国では高等教育を受け、イノベーション能力を備えたミドルレンジ・ハイエンド人材が急速に増加し、これまでの賃金の安い労働者を頼りにした競争スタイルに取って代わるようになっており、「労働人口ボーナス」から「エンジニアボーナス」へとアップグレードしている。
中国の支援を受けエジプトで建設中の変電所内で設備のチェックを行う中国人エンジニア(撮影・隋先凱)。
2022年度版のARWUを見ると、エンジニアリングの分野には計22学科があり、中国はそのうち14学科でトップに立った。器械科学の学科ランキングでは、中国の大学が1-9位までを独占した。これは、中国の製造業大国の地位にふさわしい結果となっている。しかし、中国は慢心することなく、エンジニアリングの分野でさらに優位性を確保できるよう、今後も努力を続けなければならない。
一方、基礎科学である自然科学の8学科を見ると、米国が5学科でトップに立った。また、物理や化学といった多くの学科のトップ10を見ても、米国が半数以上を占める一方、中国が1位となった学科は一つもなかった。8学科のトップ10を見ても、3席を占めたに過ぎない。つまり、中国は基礎科学研究の面に大きなウィークポイントがあるということで、世界トップレベルを目指して努力する必要がある。
長年、学科の難度が高いことや報酬が少ないといった要素の影響で、欧米諸国の学生はエンジニアリングを専攻することを望まず、商業科や法学、医学といった専攻が人気となり、テクノロジー人材が減少の一途をたどっていた。そして、それぞれの国の将来の競争に、一定の影響を与えてきた。2022年度版のARWUの54学科のうち、米国は32学科でトップに立ち、依然として圧倒的な優位性を誇っている。しかし、細分化されたエンジニアリングの分野の22学科では、中国が14学科でトップに立ったのに対して、米国は8学科にとどまった。この数字の比較は、一部の先進国の青少年はエンジニアリングを専攻することを望まないという、各種報告が長年反映してきた社会問題を再び浮き彫りにしている。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年7月26日