国際的な学術誌「サイエンス」は9月2日、杭州華大生命科学研究院が主導し、3カ国の17機関と共同で行った研究成果、世界初のメキシコサンショウウオ脳再生時空マップを掲載し、メキシコサンショウウオの脳の自己再生のプロセスを明らかにした。科技日報が伝えた。
同研究チームは「Stereo-seq」技術に基づき、メキシコサンショウウオの脳の発育と再生プロセスを体系的に解析・比較し、メキシコサンショウウオの脳再生プロセスにおける重要神経幹細胞サブセットを発見し、この種類の幹細胞サブセットによる損傷したニューロンの再構築プロセスを描写した。同成果は人類が脳の構造及びその発育プロセスを理解するのに役立ち、神経系の再生医学研究と治療に新たな方向を提供している。
今回の研究では人工繁殖されたメキシコサンショウウオが使用された。高い再生能力を持ち、四肢、尾、目、皮膚、肝臓などの器官だけでなく脳まで再生できる。そのため科学者は重要なモデル生物として、再生関連の難題の研究に用いている。メキシコサンショウウオの脳の発育と再生プロセスにおけるニューロン形成プロセスを対比することで、科学者は2つのプロセスが非常に類似していることに気づいた。これは脳の損傷がメキシコサンショウウオの神経幹細胞の逆方向の転化を誘導し、発育期の若い状態に戻し再生プロセスを始めた可能性を示した。
論文の共同連絡著者で、杭州華大生命科学研究院の顧穎博士は、「高い再生能力の他にも、メキシコサンショウウオは進化上、その他の硬骨魚類よりも高等で、哺乳類の脳構造により近い類似性を持つ。またその遺伝子コード配列は人類と極めて類似している。メキシコサンショウウオの脳再生の起動メカニズムを研究し、その鍵となる遺伝子を発見することで、人類の神経系損傷または神経変性疾患の修復に重要な指導を提供できるかもしれない」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年9月5日