世界初の浸没型液体冷却蓄電発電所である南方電網梅州宝湖蓄電発電所がこのほど正式に稼働開始した。同発電所の規模は70MW/140MWhで、一日当たり1.75回の充放電として計算すると、1年で8100万kWh近くの発電が可能で、電力消費ピーク時の350万世帯の1日当たりの電力消費量に相当する。人民日報海外版が伝えた。
都市の「モバイルバッテリー」に相当する蓄電発電所は、オフピーク時に風力や太陽光などの再生可能エネルギーを使い発電し、電池の充電を行う。ピーク時に放電することでピークカット・ピークシフトの役割を果たし、新エネの利用能力を高める。蓄電池は稼働中に持続的に発熱するため、冷却は蓄電発電所の安全に影響を与える重要な要素となる。
南方電網蓄電公司は梅州宝湖蓄電発電所で初めて、電池を冷却液内に浸すことで電池に対して直接的、スピーディで充分な冷却を実現することにより、電池が最良の温度範囲内で稼働できるようになり、電池の寿命を効果的に延ばし、蓄電発電所の安全性を高めている。南方電網公司リーダー級技術専門家で、南方蓄電科技公司会長の汪志強氏は、「浸没型液体冷却電池蓄電システムの開発成功により、電気化学蓄電安全技術の世代交代を実現した。電池の放熱効率は従来より50%上がった。梅州宝湖蓄電発電所の各浸没型液体冷却電池室の容量は5.2MWhで、電池の稼働中の温度上昇を5℃以内に、電池間の温度差を2℃以内に抑えることができる」と述べた。
梅州宝湖蓄電発電所は広東省新型蓄電モデルプロジェクトで、中国の南方地域で建設された最大規模の電力網側独立蓄電発電所でもある。2022年末現在の中国の新型蓄電プロジェクト設備容量は870万kWに達した。25年末には設備容量が3000万kW以上にのぼり、年間平均成長率が50%を超える見込みだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年3月20日