今年の2月以降、金価格が値下がりを続ける中で、大勢の消費者が様子見の態度を取りながら、さらに値下がりすることを期待していた。しかし米国のシリコンバレー銀行が一夜にして突然経営破綻すると、リスク回避ムードが急速に広がり、金価格は低下傾向から突如急上昇に転じた。
実際、シリコンバレー銀行が破綻した3月10日以降、現物市場の金価格は1オンス1869ドル(1ドルは約131.3円)から急騰し、17日はわずか1日で3.64%も上昇し、それから徐々に2000ドルの大台に近づいていった。20日午後にはついに2000ドルを突破したが、原稿執筆時点では1982ドル付近まで下がっている。
今回の金価格上昇の導火線となったシリコンバレー銀行の破綻は、米国金融市場にさらなる打撃をもたらした。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の17日付報道によると、最新の研究では、米国には同行と同じようなリスクを抱えた銀行が186行も存在する可能性があるという。
それだけではない。欧州で100年以上の歴史がある銀行クレディ・スイスの株価が15日に突如暴落したほか、フランスのソシエテ・ジェネラル、ドイツのドイツ銀行など欧州の多くの銀行の株価も目に見えて値下がりした。
相次ぐ株価の変動の中、金融リスクの広がりに対する市場の懸念が増大している。こうしたことを背景に、その物自体に資産価値がある金が、多くの投資家のリスク回避における一番目の選択肢になり、金価格が一気に上昇した。
中国山東省で50トンクラス金鉱発見
金価格の高騰に人々が心を強く動かされる中、中国の山東省威海市の乳山市でこのほど、埋蔵量が50トンに迫る金鉱床が発見されたとのニュースが突如話題になった。
メディアの報道によれば、この金鉱床は乳山市崖子鎮西澇口村にあり、開発の見通しは良好だ。威海地区で確認された最大の金鉱床であるとともに、今年中国で確認されたもののうち現時点で最大の金鉱床でもあり、全国の金鉱の貯蔵量・生産量増加、国内の鉱物資源の保障能力の増強にとって重要な意義をもつという。
金鉱の発見は金価格に影響を与えるだろうか。業界関係者は、「この金鉱の発見が金価格全体に与える影響は限定的」との見方を示す。
それでは今後、金価格は低下するだろうか。この点に関して、業界関係者の多くが「金価格はさらに上昇し、長期的に市場は上昇傾向を維持する可能性がある」との見方を示す。華鑫証券の傅鴻浩アナリストは、「シリコンバレー銀行の破綻による危機の蔓延を防ぐことが米連邦準備制度理事会(FRB)の第一の目標になった。今後、FRBの金融政策は緩和的になると予想され、金価格の持続的上昇が期待できる」と分析する。また、中信証券の研究報告も、「金価格は上昇傾向を維持する見込み」と指摘している。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月21日