南京大学仙林キャンパスで今月、有名画家の作品でも、教師や学生の作品でもなく、清掃員の女性が描いた絵画作品を展示する特別な「個展」が開催されている。
食堂の入り口付近で開催されているこの「個展」のタイトルは「清掃員呉さんの『春』」だ。
呉立娣さん(47)は、南京大学仙林キャンパスの学生寮の清掃員。同大学で長年働いており、毎朝7時半から作業を始め、ゴミを拾ったり、清掃をしたりしている。
呉さんがその絵画の腕を初めて披露したのは2013年のことだった。清掃が終わり、寮の黒板に「おかえりなさい」という言葉しか書かれておらず、寂しいと感じて、そこに絵を描き出したという。
その絵を見た大学生たちは、てっきり呉さんは美術を専門に学んだものだと思っていたという。実際には、呉さんは絵を専門的に習ったことはなく、絵が大好きという思いと天賦の才で「大作」を描き出していたのだ。
それ以降、キャンパスで絵を描くようになった呉さんは描けば描くほど上達していき、そして次第に同大学の人気者にもなっていった。
そして、絵画を通じて、呉さんは学生とずっと親しくなったといい、「学生たちは実家を離れて暮らしている。実の子供ではないけれど、彼らに思いやりを示すことで、私自身もうれしい気持ちになる」としている。
今回の個展を通して、多くの人がすでに消されてしまった呉さんがかつて黒板に描いた絵を見ることができている。「私はユリ、雑草ではない。ユリであることを証明できる唯一の方法は、花を咲かせること」。これは南京大学の学生たちが呉さんに最も伝えたい言葉なのだという。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月20日