习专栏

合言葉は「煎餅1人前」!

人民網日本語版 2023年05月15日16:16

江蘇省南京市玄武区の珠江路にある中国の伝統的な軽食・煎餅(ジエンビン)の店頭には、「もしあなたが南京で困難に直面しているなら、店員に『煎餅1人前』と注文してください。お金を払う必要は無いので、遠慮しないでください」という張り紙が貼られている。

同店の経営者は山東省臨沂市出身の付冬沢さんで、十数年前に、家族と一緒に南京で暮らすようになった。そして、7年くらい前から、煎餅の店を経営するようになったという。店はわずか6平方メートルばかりと小さいが、店の中は整然としていて、道具や材料などがきちんと整理整頓されている。付さんは、「店は学校からも近いので、子供のために煎餅を買う高齢者が多い。だから衛生面は特に気をつけないと」と話し、取材中も作業台を拭いたり、道具を洗ったりと、手を休めることが無かった。また、高齢者が座って待つことができるようにと、付さんは店の前に小さなテーブルと椅子も置いている。

「自分も助けてもらったので、誰かの助けになりたい」

十代の時から働きだしたという付さんは、「回り道もたくさんした。一番お金がなくて困っていた時は、姉の結婚式に参加するために実家に帰る交通費も捻出できなかった。それが、一番大きな心残りとなっている」と話す。

「今でもはっきりと覚えているが、春節(旧正月)の3日前、ある親切な女性が道路脇で体を丸めていた僕に声をかけた後、ラーメンとリンゴを走って買ってきてくれた。そして、『これ持っていきな』と、60-70元(1元は約19.5円)を握らせてくれた」と苦しかった過去の経験を話す付さんは思わず目に涙を浮かべていた。

「あの女性には本当に感謝している。その当時に比べたら、いい生活ができている。だから、愛のバトンを繋ぐために、この張り紙をしている」と付さん。

実際には、「1人前の煎餅」を注文する人はほとんどおらず、店をオープンしてから約半月の間に、若い男性1人が注文しただけだという。「夜10時過ぎに、黒いリュックを背負った若い男性が、店の前でずっとウロウロしていたので、『何か食べるかい?』と尋ねた。すると、若者はおどおどした様子で、『一番安いのはどれ?5元しかもっていないから』と話した。少し驚いたが、すぐに『それなら1人前の煎餅がいいね』と言って、温かい豆乳も一緒に渡した」という。

1人前の煎餅と1杯の豆乳は、困難に直面している人にとって飢えを癒してくれるだけでなく、その心も温めてくれるに違いない。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年5月15日

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