監督チャウ・シンチーの素顔 新作映画の主演俳優が語る (4)
■ウェン・ジャン演じる三蔵法師はチャウ・シンチーの分身
スクリーンの中のウェン・ジャンはどこかチャウ・シンチーの面影を感じさせる。口を押さえながら目をむいて驚く姿や頭を斜めに傾けながら笑っているような笑っていないような、とぼけた表情で話す様子、手や足をばたつかせて感情を高ぶらせる姿など、多くの部分で役者として全盛期のチャウ・シンチーを彷彿させる。そういった意味でも、「西遊」でウェン・ジャン演じる三蔵法師は、チャウ・シンチーの分身だと言える。今回監督に専念して自分では演じなかった理由について、「自分は年をとりすぎてもう役柄に合わない」とか「自分は大した役者ではない」とかとうそぶくチャウ・シンチーだが、「年を取ってきて、そろそろ後輩を育てて行く時期だと感じた」とも語っている。恐らく、ヒットを生み続けるには新しい息吹や血が必要なことを、チャウ・シンチーは誰よりも知っているのだろう。
しかし、今回の新作「西遊」を見た多くの観客は、映画の中のチャウ・シンチーの不在を強く思い知らされ、映画を楽しむと同時にどこか寂しい想いを抱いているようだ。ネット上は、チャウ・シンチーが演じている姿を見たいというコメントやニュースであふれている。そんな人々の想いとは裏腹にチャウ・シンチーは常にマイペースで、本音を見せない。25日に広東省深セン市で行われた同作のPRイベントに出席したチャウ・シンチーによると、すでに「西遊」の続編を準備中で、次回作は自身が主演を務める可能性も大いにあると答えている。
今後、チャウ・シンチーが監督に専念するのか?それともまだまだ主演も務めていくのか?この答えはチャウ・シンチーのみが知ることだが、厳しい現実からしばし逃れ、思い切り笑えて、少しホロリとさせられるチャウ・シンチー監督の映画は、今後も中国人に愛されていくに違いない。