G20会議 なぜ日本の円安を非難しなかったのか?
昨年第4四半期より円安が急激に進行しており、日本政府の本国利益最重視のやり方が、各国から非難されている。しかしこのほど閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議において、日本の為替政策は非難を免れた。同会議は、為替操作の競争を防ぐ必要があるという声明を発表するに留まった。証券時報が伝えた。
メディアの報道において、円安は「誘導」と決め付けられている。誘導のツールは、大規模な金融緩和政策だ。日銀は2012年に計5回に渡り金融緩和政策を実施し、資産購入規模は、2012年初頭の55兆円から年末の101兆円に膨れ上がった。資産購入規模が頻繁に拡大する中、安倍政権はこれをさらに強化する構えであり、実質的に無制限の金融緩和となっている。
G7がG20に拡大すると、発展途上国の発言権が向上したが、決定的な作用を持つのは一部の伝統的な強国、およびこれらの強国からの影響力を受ける国際組織である。ところが量的緩和策の実施に関して、これらの国は日本の「師」と言え、そのツールの種類と緩和の規模は日本を上回っている。
米連邦準備理事会は昨年9月15日に量的緩和第3弾(QE3)を実施した。QE1やQE2と異なり、QE3は全体的な規模と期間を設定せず、満期前に投資家が参与を中止し、さらには逆行する操作により効果を低減させることを防いだ。欧州中央銀行は先ほど実施した長期リファイナンス・オペレーション(LTRO)、証券市場プログラム(SMP)などの緊急金融政策を踏まえた上で、新たな債券買い入れプログラム(OMT)を実施しており、無制限の金融緩和がはっきりと示されている。
自国が大規模な金融緩和策の受益者でありながら日本を非難するのでは、後ろめたさを感じるはずだ。また欧米は為替レート問題において、日本にほとんど利益を分け与えなかった。国際決済銀行(BIS)の直近の統計データによると、今年1月の米ドルの実質実効為替レートは0.34%のみ上昇し、英ポンドは1.92%低下し、カナダドルは0.15%低下し、ユーロも0.04%のみの上昇となった。