ベネチア国際映画祭が閉幕 蔡明亮監督に審査員大賞
イタリア・ベネチアで7日夜、第70回ベネチア国際映画祭の授賞式が閉幕した。台湾地区の蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の「郊遊」(Stray Dogs)が審査員大賞を受賞した。コンペティション部門に唯一ノミネートされた中国語映画である同作品は台湾地区の蔡明亮監督の新作で、監督は同作品で引退する旨を以前に表明していた。授賞式でも同監督は引退について「これは神様の意思で逆らえない」と発言した。揚子晩報が伝えた。
ベネチア映画祭は同監督に縁が深く、1994年には「愛情万歳」が金獅子賞を受賞している。同監督の作品は愛情や孤独、人と人との交流の障害などを描いているが、新作の「郊遊」では感情の衝突などは見られず、固定されたカメラの望遠ズームのアングルから、街角で朝から晩まで不動産屋の広告ボードを持つ失意の男性と、さまよう2人の子どもの姿を淡々ととらえている。商業映画への嫌悪を様々な場面で表明していた同監督は、早くからインスタレーションなどの現代的撮影に関わっていた。「郊遊」では同監督と長年協力してきた李康生(リー・カンション)、陸奕静(ルー・イーチン)、楊貴媚(ヤン・クイメイ)といった友人たちや作品中の2人の子どもたちが家族のように一体となっている。
蔡監督は受賞の挨拶で「私の映画が受賞できるとは、非常に難しい事だ。私の作品は非常に遅く、またますます遅くなっていく。そのため、審査委員がゆっくりと私の映画を見てくれたこと、また同祭の観客がゆっくりと私の映画を見てくれ、私のペースに付き合ってくれたことに感謝する」と語った。受賞の記者会見で同監督は再び映画撮影からの引退について発言した。監督は笑顔で次のように語った。多くの人が誤解している、なぜ映画のテンポがこれほど遅いのかを理解していないが、この撮影が難しい映画を美しいと紹介している。観客がゆっくりと落ち着くのは難しいことであるため、同祭の観客には感謝している。
20年以上も作品に出演してきた俳優の李康生について監督は「彼は素晴らしい。一緒に長い時間仕事をしてきて、収入も少なく、多くの苦労をした。観客に人気のある作品は撮影できなかった時も、彼は去ることなく付き合ってくれた。彼の顔を作品内での重要な顔にしたいと希望してきた。感謝している」と語った。以前の宣伝パンフレットで同監督は「1991年から2012年までかかったが、私はそれでも言いたい。李康生の顔こそ私の映画だ」と語っている。(編集YH)
「人民網日本語版」2013年9月9日